●目立つ「低年齢化」「放任」~ 子どものインターネット利用
子どものネット利用は低年齢層に広がっており、しかも子どもは親が把握している以上に奔放にインターネットを利用していることがアンケートなどで明らかになっている。
2006年版「インターネット白書」によると、15歳以下(3~15歳)以下のインターネット利用が増加しており、利用者の約1割は中学生以下だ。ネットで知り合った同士でサッカーチームを作ると、小学生もしくは中学生が1人やって来るというわけだ。(図2)。
図2 インターネット利用者の年代別構成比推移(インターネット白書2006)
マイクロソフトネットワークが小中学生と小中学生の子どもを持つ親を対象に行ったアンケート調査では、子どもたちは親が思う以上に自由にインターネットを利用していることがわかった。たとえば、「子どものインターネット利用頻度」の最多回答は「毎日」だが、回答者の割合は親が59%、子どもが88.6%で、親は実際より子の利用頻度を低く捉えていた。「子どもがインターネットを利用するとき」は「自分ひとり」と答えた親は66.7%だが、子どもは91.0%で、こちらも親の認識の甘さを示している。
●子どもと決めたい家庭のルール
インターネットも社会の一部であり、現実の社会と同様にルールもあれば危険もある。また、クリックし続けると無限に新しい世界が目の前に広がるため、好奇心旺盛な子どもはいつの間にかネットの森の奥に踏み入り、現実社会に戻れなくなってしまう恐れもある。インターネットを使い始める前には必ず、インターネット利用の際のルールやマナー、危険な領域について予備知識を与えておきたい。
日常の会話で伝えてもいいし、一緒にネットに向かって話し合ってもいい。著作権協会や警察庁など、公的機関が公開している子ども向け教育サイトには、低学年向けにわかりやすく解説したサイトや、一問一答型のゲーム形式など親しみやすく工夫されたサイトもある。ぜひ活用したい。
>>インターネットのルールを学べるサイト
インターネットと子どもに関するページ(IAjapan)
http://www.iajapan.org/child/
インターネットを利用するためのルールとマナー集(IAjapan)
http://www.iajapan.org/rule/rule4child/v2/
【警察庁の防犯関連サイト】
危ない!出会い系サイト
http://www.npa.go.jp/cyber/deai/index.html
きっずパトロール
http://www.npa.go.jp/cyberpolice/kids/index.html
●犯罪の領域に迷い込ませないために
インターネットに出入りするということは、自宅にいながら別の世界に出入りすることである。ネットには役立つものも多いが巨悪も潜んでおり、公園や遊園地感覚で子どもを自由に遊ばせられる場所ではない。子どもがインターネットでどこに出入りしているか、何をしているのか、できる限り把握しておきたい。インターネットではGPS端末を持たせるわけにもいかないが、下記のような方法がある。
パソコンはリビングなど親の目の届くところに置き、家族と共用する
子ども用のアカウントは、勝手にアプリケーションのインストールなどができないように権限の低いものにする
ブラウザの履歴で、どんなサイトを見ているかチェックする
パソコンを使う時間を決める
家族と共有ではなく専用のパソコンをもつ子どもも増えてきており、子供が自室でパソコンを使用しているケースも考えられる。そういった場合に、子供専用パソコンがネットに接続している頻度や時間帯などを大まかに把握する方法として、下記がある。
ルータのデータアクセスランプで、ネットへ接続しているパソコンの有無を調べる
家庭内でLANを組んでいる場合、OSやネットワーク管理ソフトで子供専用パソコンのオンライン状況をチェックする
セキュリティソフトの「無線LANパトロール機能」などで、子供専用パソコンがルータに接続しているかどうかを確認する
また、パソコン周りの情報に限らず、普段の身なりや行動にも注意したい。高額な商品を持つ、親に行き先を言わなくなるなど。
●マネーゲームに溺れない金銭感覚を
冒頭で述べたように、金銭を目的とした子どものネット犯罪が増えている。インターネットでは金銭は文字で表され、ともすれば「お金」としての現実感が薄くなりがちだ。たとえば、ゲームに不正アクセスして得たお金を、電子マネーもしくはネット銀行に貯めた場合、現実の通貨を目にしないままに残高だけが増える。さらに、ネットショップやネットオークションなどで、物とお金の交換現場を目にしないままに欲しいものを手に入れることができるので、自分の行為の裏で金銭が動く実感はさらに希薄になる。そして、ゲーム感覚で手段を選ばす残高を増やすようになっていく。
こうした金銭感覚のマヒを防ぐためにも、日頃から、金銭が労働もしくは物品の対価であることをしっかりと認識させておきたい。また金銭感覚以外にも、以下のような行為が犯罪にあたることを、その理由(著作権保護はアーティストの生活を守るために必要な措置であることなど)とともに教え、犯罪を犯すと相応の処罰を受けることも理解させておきたい。
・他者が作った音楽や画像、動画などを勝手に使う-->「著作権侵害」
・掲示板などで偽の情報を書き込み空売りする-->「詐欺」
・掲示板などで他人を誹謗中傷する-->「名誉毀損」
●危険地帯への出入り禁止のお目付け役「フィルタリングソフト」
現実世界では子どもを一人で繁華街へ行かせることはないし、子どもが行く図書館に悪書は置いてない。ネット世界で同じように子どもを守ろうとすると、「フィルタリングソフト」が必要になる。フィルタリングソフトを使うと、いわゆる有害情報や有害サイトの閲覧を制限することができる。出会い系サイトなどへのアクセスの制限に一役買ってくれる、いわば「お目付け役ソフト」である。
>>フィルタリングソフト参考サイト(フィルタリング情報ページ(IAjapan) )
http://www.iajapan.org/rating/index.html
プロバイダーによってはフィルタリングサービスを実施しているところもあり、こちらを使うと、同じ回線からインターネットにつながっているどのパソコンからも、有害情報へのアクセスすることができなくなる。
◇携帯電話にもある「フィルタリングサービス」
携帯電話各社もフィルタリングサービスを用意している。警察庁の発表によると、出会い系サイトへのアクセスには、9割以上(95.8%)が携帯電話を使っている。携帯電話は親元を離れた場所で使うことができることもあり、有害情報にアクセスしやすい傾向にある。導入を検討したいサービスである。
(=その3「まさかうちの子が…その日が来てしまったら」へ続く=)
http://gendaiforum.typepad.jp/column/2006/09/index.html