インターネットを安全に使うためには、パソコンのOSやアプリケーションのアップデートが欠かせません。アプリケーションの中でも特にマルウェア(ウイルス)感染の原因になることが多いのが、3つのプラグイン「Adobe Reader」、「Adobe Flash Player」、「JRE」です。Webサイトを閲覧しただけで、知らない間にウイルスに感染してしまったという被害が後を絶ちませんが、この3つをアップデートすることで、そのほとんどを防ぐことができます。今回は、「Adobe Flash Player」のアップデート方法を解説します。
なお、OS(Windows、Mac)のアップデートについては、下欄「インターネットの安全利用に欠かせないアップデート:全体の構成」を参照ください。
<INDEX>
■「Adobe Flash Player」とは
■使用しているバージョンを確認する
■最新版へアップデートする
■「自動更新」を設定する
■ブラウザに搭載されたFlash Playerを更新する
【インターネットの安全利用に欠かせないアップデート:全体の構成】
(1)Windows OS編(2015年9月)
(2)Mac OS X編(2015年10月)
(3)プラグイン編
・アップデート前の基礎知識(2015年11月)
・「Adobe Acrobat Reader DC」「Adobe Reader」を最新版に(2016年1月)
・(本記事)「Adobe Flash Player」を最新版(20.0.0.306)に(2016年2月)
・(2016年3月掲載予定)「JRE」を最新版に
<以下本文>
Adobe Flash Playerは、アドビシステムズのAdobe FlashやAdobe Animate CCで作成されたマルチメディアコンテンツを再生するソフトウェアです。Flashのコンテンツは、HTML5への置き換えが加速しているものの、まだまだWebサイトで広く使われており、最初からインストールされている家庭向けパソコンも多くあります。
通常版のバージョン19まではすでにサポートを終了し、現在はバージョン20(最新版:20.0.0.306)と、延長サポート版のバージョン18(最新版:18.0.0.329)が提供されています。
ブラウザが使用するFlash Playerには、Internet Explorer用のActiveX(アクティブエックス)コントロール版と、FirefoxやSafariなどで使用するNPAPI(Netscape Plugin API)版、Operaなどで使用するPPAPI(Pepper Plugin API)版があり、下記のダウンロードページで無料入手できます。
・Adobe Flash Playerのダウンロードページ(アドビシステムズ)
https://get.adobe.com/jp/flashplayer/
複数のブラウザを利用している場合は、全てのブラウザでアップデートを行わないと、古いバージョンが残ってしまうことがあるのでご注意ください。特にActiveXコントロール版に関しては、Internet ExplorerだけでなくMicrosoft Officeなどからも利用できるので注意が必要です。Wordの文書ファイルにFlashコンテンツを埋め込むと、Word経由で攻撃することもできるので、Internet Explorerを使用しているかどうかに関わらず、ActiveXコントロール版は常に最新の状態に保つか、不要ならば削除してください。アンインストール方法については、アドビシステムズの下記ページをご覧ください。
・Adobe Flash Player をアンインストールする方法(アドビシステムズ)
https://helpx.adobe.com/jp/flash-player/kb/230810.html
【注】Windows 8.1/10上のInternet Explorer 10/11とWindows 10上のEdge、Google Chromeは、Flash Playerの機能がブラウザに組み込まれているので、プラグインは必要ありません。アップデートも、Internet ExplorerとEdgeの内蔵版はWindows Update経由で、Google Chrome版はGoogle Chromeの自動更新機能を通じて、自動的に最新版に更新されます。
現在使用しているFlash Playerのバージョンは、WindowsのコントロールパネルやMacのシステム環境設定の[Flash Player]を開くか、下記の「Flash Playerのバージョンテスト」ページで確認できます。
・Adobe Flash Playerのバージョンテストページ(アドビシステムズ)
https://www.adobe.com/jp/software/flash/about/
バージョンテストページは、閲覧中のブラウザが使用しているFlash Playerのバージョンが確認できます(図1)。
図1 「Flash Playerのバージョンテストページ」画面
WindowsのコントロールパネルやMacのシステム環境設定の[Flash Player]を開くと、[更新]タブでブラウザ搭載版を除くインストールされている全てのプラグインのバージョンが確認できます(図2)
[更新]タブにある[今すぐチェック]ボタンを押すと、Mac版は、アップデートの有無を確認し、アップデートがある場合には、ダウンロードとインストールの実行確認を求めてきます。[はい]をクリックすると、ディフォルトブラウザを使って「Flash Playerのダウンロードページ」を開きます。
Windows版は、先の「Flash Playerのバージョンテスト」ページを、ディフォルトブラウザを使って開きます。
「Flash Playerのダウンロードページ」や「Flash Playerのバージョンテストページ」には、最新版のバージョン情報が掲載されています。インストールされているバージョンが古い場合には、「Flash Playerのダウンロードページ」で最新版に更新しましょう(図3)。
・Adobe Flash Playerのダウンロードページ(アドビシステムズ)
https://get.adobe.com/jp/flashplayer/
図3 「Flash Playerのダウンロードページ」画面
ダウンロードページの[いますぐインストール]をクリックすると、インストーラーのダウンロードが始まります。[オプションのプログラム]が選択されている場合には、選択を解除してからクリックしましょう。
「Flash Playerのダウンロードページ」では、バージョン20の最新版が提供されています。何らかの事情で、延長サポート版のバージョン18を使わなければならない場合には、次の「アーカイブページ」で、バージョン18の最新版が入手できます。
・Adobe Flash Playerのアーカイブ(アドビシステムズ)
https://helpx.adobe.com/flash-player/kb/archived-flash-player-versions.html
Flash Playerは、最新版へのアップデートを自動的に行う機能を備えています。自動更新の適用方法は、インストール時に指定できるようになっており、初期設定では「新しいアップデートがリリースされたら自動的にインストールする」が選択されています(図4)。そのままインストールを進め、Flash Playerを常に最新の状態で利用できるようにしましょう。
インストール後の設定変更は、「Flash Player 設定マネージャー」の[更新]タブで行うことができます。設定の変更には管理者権限が必要です。
Windows版は、[アップデート設定を変更]ボタンを押してユーザーアカウント制御の許可や管理者のアカウントを入力すると、設定変更が行えるようになります(図5)。Mac版は、設定を変更しようとすると管理者のアカウントの入力を求めてきます(図6)。
Windows 8.1/10上のInternet Explorer 10/11とWindows 10上のEdge、Google Chromeは、Flash Playerの機能がブラウザに組み込まれています。Internet ExplorerとEdgeの内蔵版はWindows Update経由で、Google Chrome版はGoogle Chromeの自動更新機能を通じて、自動的に最新版に更新されます。自動更新を待たずに今すぐ更新したい場合には、手動でWindows UpdateやGoogle Chromeの更新を行います。Windows Updateの方法は、下記のトピックスを参照してください。Google Chromeは、Mac版のChromeメニューやWindows版のメニューアイコン([≡])から、[ヘルプ]→[Google Chromeについて]と進むと、最新版の確認と更新が行えます。
Google Chromeでは、ブラウザ本体は更新せず内臓Flash Playerだけを更新することがあります。アドレスバーに chrome://components と入力して「コンポーネント」画面を開き、個々のプラグインの「アップデートを確認」ボタンを押すと、今すぐ最新版の確認と更新が行えます。一覧の中の「pepper_flash」とあるのが、Flashs Playerのプラグインです。
図7 Google Chrome内臓コンポーネントの手動更新
(執筆:現代フォーラム/鈴木)