2017年4月11日(日本時間)をもって、Windows Vistaの全てのサポートが終了します。2017年10月10日(日本時間)には、Office 2007のサポートも終了します。サポート終了後は、新たな脆弱性が見つかっても「更新プログラム」は提供されず、そのまま使い続けるとマルウェア(ウイルス)感染や情報漏えいなどのリスクが日増しに高まります。サポートを終了したシステムには、アプリや周辺機器なども提供されなくなっていきます。おおむね5年以上同じシステムを使い続けている方は、サポート期間が終了していないかどうかを確認し、システムが危険な状態になったり支障をきたしたりする前に、新しい環境への移行を検討してください。
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■WindowsとOfficeのバージョン確認
■パソコンの“引越し”
■“引越し”できるものとできないもの
■いろいろな引越し方法
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お使いのWindowsのバージョンを確認してみましょう。キーボードの左下や右下にあるWindowsキーを押しながら[R]キーを押します。[ファイル名を指定して実行]というダイアログボックスが開くので、winver と入力して[OK]をクリックします。
Office製品の場合は、アプリ(WordやExcelなど、どれでもかまいません)を開いて新しいドキュメントを作成します(保存する必要はありません)。アプリの左上に、丸い[Officeボタン]がある場合は、2007です。[Officeボタン]→[〇〇のオプション]→[リソース]の順にクリックすると、バージョン情報が確認できます。Windows VistaのパソコンにプリインストールされていたOfficeの場合には、たいていこのバージョンです。ちなみに、2007よりも前のOffice製品は、[ヘルプ]→[バージョン情報]で。後の製品は、[ファイル]→[ヘルプ]または[アカウント]からバージョン情報が確認できます。
図3 Office 2007特有の[Officeボタン]とバージョン表示例
WindowsとOffice製品のサポート終了予定は次の通りです。
表1 WindowsとOfficeのサポート終了予定
サポート終了製品についての詳細は、マイクロソフトの解説ページ(下記)が参考になります。
・OS にはサポート期限があります!(マイクロソフト)
https://www.microsoft.com/ja-jp/atlife/article/windows10-portal/eos.aspx
・サポート終了の重要なお知らせ(マイクロソフト)
https://www.microsoft.com/ja-jp/office/2007/end-of-support/default.aspx
Officeなどのアプリの場合は、新しい製品にアップグレードすればたいてい事足りますが、母体となるWindowsは少々厄介です。最新のWindows 10は、Windows 7/8.xで作成したファイルや設定、アプリケーションなどの環境をそのまま引き継いだアップグレード(上書きインストール)が行えますが、Windows Vistaはアップグレードできず、新規のインストールになってしまいます。パソコン本体はそのままに、OSだけを何も考えずにインストールすると、以前の環境が全て失われてしまうのです。作成したデータファイルなどを事前に全てバックアップし、Windowsのインストール後にバックアップから復元するという手順を踏まなければなりません。
もっとも、3世代も前のパソコンのOSだけを最新のものにするというのは、少々無謀かもしれません。OSのアップグレードよりも、新機種への買い替えを検討した方が賢明でしょう。この場合も、作成したファイルなどを新しいパソコンに引き継ぐ“引越し”が必要になります。
●新PCへのデータ引越し――手動または有料ソフトで
注意しなければいけないのは、Windows 10のバックアップツールは、Vistaのバックアップデータには対応しておらず、新しいパソコンにファイルや設定を移行できる「Windows転送ツール」も提供されていません。手動またはサードパーティ製の引越しソフトを使い、古いパソコンから新しいパソコンに環境を移行しなければなりません。
引越しソフトは、Windows転送ツールと同等またはそれ以上の機能を持つソフトウェアで、数千円程度の製品がパソコンショップや量販店、ダウンロード販売などで売られています。パソコンによっては、引越しソフトがプリインストールされていることもあるので、確認しておきましょう。全自動であらゆる環境を再構築してくれるわけではありませんが、基本的なものは新しいパソコンに簡単に持って行くことができます。
手動で行う場合は、ある程度の知識が必要で手間もかかりますが、引越しソフトが対応していないものも、新しいパソコンに持って行けることがあります。
OSも本体も異なる機種間の引越しは、OSのみのアップグレードに比べると環境の違いが大きく、引越しできないものが多々あります。どのアプリとデータを新しい環境に持って行きたいのか。それは可能なのかを事前に洗い出しておきましょう。
●アプリで作成したデータや写真、動画、音楽など
多くの人が引越ししたいと思い、おおよそそれが可能なのが、アプリで作成したデータや写真、動画、音楽などのファイル類です。これらは、古いパソコンから新しいパソコンにファイルをコピーすればよいのですが、ライセンス管理されている動画や音楽のファイルは、移行処理や再ダウンロードが必要になるかもしれません。ブラウザの設定やお気に入り、メールのアカウント設定や送受信メール、アドレス帳なども、アプリにもよりますがたいてい引っ越すことができます。
●アプリの引越しは事前に条件確認を
使用していたアプリの場合は、新しいパソコンにインストールし直すのが基本です。OSが変わるので、アプリが対応しているかどうかを事前に確かめておきましょう。新しいOSに対応するために、アプリのアップグレードも必要になるかもしれません。インストール時にプロダクトキーが必要な製品や、古いパソコンから新しいパソコンにライセンスを移行する作業が必要な製品もあります。使用している製品について、こうした情報も確認しておきましょう。
●ブラウザやメールの設定の移行
アプリによっては、アプリ固有のデータや諸設定の移行手段を提供している製品もあります。例えば前掲のブラウザやメールの設定の移行は、アプリの機能に依存します。特定のファイルを引越し先に持って行けば移行できるものや、エクスポート機能を使って移行用のファイルを作成し、引越し先でインポートするものが一般的ですが、ブラウザなどがサポートしている機種間の同期機能も移行手段に使えます。こうしたことも事前に調べておくと、設定し直す手間を最小限に抑え効率よく移行できるでしょう。
●パソコン付属のアプリ
パソコンに付属しているアプリの場合は、たいていそのパソコンでのみ使用できる契約になっています。新しいパソコンでは使うことができないので、新規に購入するか、同じアプリまたは代替品が付属しているパソコンの購入を検討する必要があります。
●プリンタなどの周辺機器
プリンタなどの周辺機器についても、新しいOSに対応しているかどうかを事前に確認し、必要な措置をとっておかなければいけません。そのまま利用できるものもあれば、ソフトウェアの更新や新規ダウンロードが必要なもの、未対応で利用できなくなってしまうものもあります。
パソコンの引越しは、古いパソコン上で持って行くものをまとめる「荷造り」、新しいパソコンに持って行く「運送」、新しいパソコン上で利用できるようにする「荷解き」から成る作業です。引越しソフトを利用する場合には、「荷造り」と「荷解き」をソフトがほぼ自動的に行います。手動で行う場合には、移行に必要なものを集めたり、新しいパソコン側で取り込んだりといったことを全て手作業で行います。
ユーザーが作成したデータは、規定では各自のフォルダ内の「ドキュメント」「ピクチャ」「ビデオ」「ミュージック」に保存されていまます。共有フォルダを使用している場合は、ユーザーフォルダ内の「パブリック」以下に保存されています。特別な場所に保存していなければ、これらフォルダ内のファイルを新しいパソコンにコピーすれば、作成したデータファイルを持ち出すことができます。
アプリの設定や固有のデータ(ブラウザのお気に入りやメールデータ、アドレス帳など)は、データが保存されているファイルを持って行くだけでよいものもあれば、アプリのエクスポート機能を使って移行用のファイルを作成し、移行先でインポート機能を使って取り込むものもあります。詳しくは、お使いのアプリのマニュアル等でご確認ください。
新旧パソコン間の運送手段には、次のようなものが利用できます。
●リムーバブルメディア
USBメモリや外付けハードディスクなどの着脱可能なリムーバブルメディアを使用すると、引越し荷物を短時間に受け渡すことができます。注意点は、移行するデータ量に合った容量のメディアが必要になることです。容量が32GB~64GB程度に収まれば、USBメモリが手軽ですが、容量を上回るようならハードディスクをお勧めします。数千~1万円程度で、Vitaパソコンの内蔵ハードディスクなら丸ごと入ってしまう、500GB~1TBの製品が手に入ります。
●家庭内LAN
インターネット回線が接続されている有線や無線のホームルーターに、新旧両方のパソコンをつなぐと、直接データを転送することができます。古い環境では転送速度に難がありますが、余分な出費を抑えられます。
●クラウドストレージ
OneDriveやGoogle Drive、Dropboxなどのクラウドストレージも利用できます。無料で使える容量が少なく、LANをさらに下回る転送速度ですが、今後もクラウドにファイルを保存し、どこからでもアクセスできるようにしたいのであれば、この機会にアップロードしておくとよいかもしれません。
(執筆:現代フォーラム/鈴木)