インターネットを安全に使うためには、パソコンのOSやアプリケーションのアップデートが欠かせません。OSのアップデートに関しては、9月(Windows)と10月(Mac OS X)の本欄で説明しましたので、今月よりアプリケーションの中でも特にマルウェア(ウイルス)感染の原因になることが多い、3つのプラグイン(Adobe Reader、Adobe Flash Player、JRE)のアップデート方法について解説します。Webサイトを閲覧しただけで、知らない間にウイルスに感染してしまったという被害が後を絶ちませんが、その多くは、この3つのプラグインのアップデートで防ぐことができます。
<INDEX>
■セキュリティの基本はアップデート(脆弱性の修正)
■アップデート前の基礎知識
■「コントロールパネル」「システム環境設定」の操作
開き方/表示の切替え/検索
【2016年1月以降の予定】
「Adobe Acrobat Reader DC」「Adobe Reader」を最新版に
使用バージョンの確認/最新版へのアップデート/自動更新の設定
★コラム:Readerをより安全に使うために
「Adobe Flash Player」を最新版(19.0.0.245)に
使用バージョンの確認/最新版へのアップデート/自動更新の設定
「JRE」を最新版(Version 8 Update 65 [1.8.0_65])に
使用バージョンの確認/最新版へのアップデート/自動更新の設定
★コラム:Javaをより安全に使うために
<以下本文>
パソコンは、Webサイトや文書ファイルを閲覧するだけで、意図しないプログラムが勝手に実行されてしまうことのないように作られています。ところが、システムにある種の欠陥があると、想定外のことが起きてしまうことがあります。セキュリティ上の問題を引き起こす、このような欠陥のことを脆弱性(ぜいじゃくせい)といいます。脆弱性が悪用されると、セキュリティソフトを入れたパソコンを注意深く使っていても、マルウェアに感染してしまう危険があります。
ソフトウェアの開発元は、脆弱性が見つかると問題点を修正し、ユーザーにアップデートするよう呼びかけます。ところが、せっかくのアップデートを適用せず、危険な状態のまま使い続けている人が多く、防げたはずの被害にあってしまう方が後を絶ちません。
マルウェア感染などに悪用されることが特に多いのは、利用者の多いマイクロソフトのWindowsとOffice製品、Adobe Flash Player、Adobe Reader、JRE(Java Runtime Environment:Java実行環境)です。Windowsほどではありませんが、Macが狙われることもあります。これらのアップデートを欠かさず行うだけで、被害を大幅に減らすことができます。
マイクロソフトの製品は、Windows UpdateやMicrosoft Updateを使って一括してアップデートできます。詳しくは、次の記事をご覧ください。
・インターネットの安全利用に欠かせないアップデート【Windows OS編】(セキュリティ通信トピックス)
http://www.so-net.ne.jp/security/news/newstopics_201509.html
アップル製品は、Mac App Storeを通じて一括してアップデートできます。詳しくは、次の記事をごらんください。
・インターネットの安全利用に欠かせないアップデート【Mac OS X編】(セキュリティ通信トピックス)
http://www.so-net.ne.jp/security/news/newstopics_201510.html
このほか、悪用されることの多いソフトウェア3本「Adobe Reader」「Adobe Flash Player」「JRE」について、個別にアップデートする必要があります。これらは、 Web閲覧ソフトのブラウザに機能を追加する「プラグイン」として、ユーザー自身がインストールしている場合もありますが、購入したパソコンに最初からインストールされていたり、他のソフトウェアと一緒にインストールされたりすることもあるので注意が必要です。利用している覚えのない方も、インストールされていないかどうか必ず確認しておきましょう。インストールされている場合には、常に最新の状態で利用できるように、アップデートを心がけましょう。
本稿では、まずアップデート前の基礎知識を押さえ、来年1月以降、この3つのプラグインのアップデート方法を解説することとします。
アップデートに際しては、いくつかの注意事項があります。普段あまり行わないような操作もあるので、アップデートを行う前に、これらをぜひ覚えておいてください。
・アップデートはインターネットに接続できる状態で
最新版の確認やダウンロードは、インターネットを使って行います。アップデートは、必ずインターネットに接続できる状態で行ってください。
・アップデートは管理者アカウントで
ソフトウェアのインストールやアップデートのような、システムの設定・変更を伴う操作を行う際には、管理者権限をもつ管理者アカウントで許可を与える必要があります。管理者アカウントを設定した覚えのない方は、パソコンを初めてセットアップしたときのアカウントを思い出してください。それが管理者権限を持つ管理者アカウントです。
許可の与え方は、WindowsかMacか、管理者権限を持つアカウントでログオンしているかどうかで多少異なります。
管理者権限を持つアカウントでWindowsにログオンしている場合は、許可を与えるかどうかの確認を求めて来ます。Macと管理者権限を持たないアカウントでWindowsにログオンしている場合は、「管理者アカウント」のユーザー名(名前)とパスワードを求めて来ます。
なお、一部のWindows用インストーラーは、管理者アカウントでログオンしていないと、インストールに失敗してしまうものがあります。アップデートを行う際には、あらかじめ管理者アカウントでログオンしておくことをお勧めします。
図1 実行許可を求めるダイアログボックスの例(Windows)
図2 管理者アカウントの入力を求めるダイアログボックスの例(Mac)
・インストール時は不要なアプリケーションを閉じる
アップデートは、他の作業と並行して行うことができますが、使用中のプログラムなどは更新することができません。このような場合には、インストール時に特定のアプリケーションを終了するよう指示されたり、インストール後にブラウザやシステムの再起動を要求されたりします。インストーラーの実行や[インストール]ボタンを押す前に、不要なアプリケーションを閉じておくと、再起動の手間を最小限に抑えることができます。
・ダウンロードは公式サイトから
最新版の入手は、ソフトウェアの更新機能を使って行う場合と、ユーザー自身でWebサイトからダウンロードしてくる場合があります。ソフトウェアに機能が備わっている場合には、それを利用しましょう。自身でダウンロードする場合には、必ず公式サイトでからダウンロードしてください。インターネット上では、最新版などと称して悪質なプログラムをインストールさせようとする行為が横行しています。公式サイト以外からのダウンロードには、大きな危険が伴うのでご注意ください。
・インストーラーの実行時には署名確認を
本稿でとりあげているWindows用のプラグインは、いずれも電子署名が付いており、ファイルのプロパティや前掲のユーザーアカウント制御の通知、ダウンロードしたインストーラーを実行する際のセキュリティの警告で確認することができます(図3)。実行前に必ず発行元を確認してください。
Mac用のプラグインには、アップルが発行した開発者の電子署名が付いており、標準設定では、確認済みの開発者の署名があるものしか開くことができません。
図3 「セキュリティの警告」に表示される「発行元」(Windows)
アップデートやプラグインの設定などを行う際に、Windowsでは「コントロールパネル」を、Macでは「システム環境設定」を使用することがあります。簡単な操作法をおぼえておきましょう。
○「コントロールパネル」「システム環境設定」の開き方
<Windows Vista/7>
(1) 画面の左下にある [スタート]ボタンをクリックします。
(2) メニューの[コントロールパネル]をクリックします。
図4 [コントロールパネル]をクリック(Windows7)
<Windows 8.1>
(1) スタート画面から[デスクトップ]を選択し、デスクトップ画面を表示します。
(2) 画面の左下にある[スタート]ボタンを右クリックします。
(3) メニューの[コントロールパネル]をクリックします。
図5 [コントロールパネル]をクリック(Windows 8.1)
<Windows 10>
(1) 画面の左下にある[スタート]ボタンを右クリックします。
(2) メニューの[コントロールパネル]をクリックします。
図6 [コントロールパネル]をクリック(Windows 10)
<OS X>
(1) 画面の左上にあるアップルのロゴをクリックします。
(2) メニューの[システム環境設定]をクリックします。
図7 [システム環境設定]をクリック(Mac)
○「コントロールパネル」の表示を切り替える
<Windows Vistaでは>
初期設定では、いくつかのカテゴリに分類したカテゴリ別の表示になっています。クラシック表示に切り替えたり、カテゴリ別表示に戻したりしてみましょう。
[クラシック表示]をクリックするとアイコン表示に、[コントロールパネルホーム]をクリックするとカテゴリ表示に戻ります。
<Windows 7/8.1/10>
初期設定では、[コントロールパネル]はカテゴリ別の表示になっています。[表示方法]で[大きいアイコン]を選択して表示を切り替えたり、[カテゴリ]を選択して元に戻したりしてみましょう。
○「コントロールパネル」「システム環境設定」の検索
[コントロールパネル][システム環境設定]の右上にある検索ボックスに名前を入力すると、目的のものを素早く探し出すことができます。このトピックスで扱うプラグインは、「Flash Player」「Java」で検索できます。最初の1文字を入力するだけで、すぐに見つかるでしょう(図10)。
来年1月以降、「Adobe Acrobat Reader DC」「Adobe Reader」、「Adobe Flash Player」、「JRE」の最新版にアップデートする方法を、順にご紹介いたします。
(執筆:現代フォーラム/鈴木)