インターネット上の違法・有害情報の対応に取り組むセーファーインターネット協会(SIA)は1日、2013年11月からから今年7月までの活動成果を発表した。この間に把握した違法・有害情報は2万4003件で、ほとんどが国外サイト掲載だったが、被害が深刻な児童ポルノ、リベンジポルノとも高い削除率が得られている。
SIAは2013年11月、ネット関連企業のヤフー、ピットクルー、アルプスシステムインテグレーションが共同設立した業界団体で、現在はアマゾンジャパン、グリー、サイバーエージェント、さくらインターネット、GMOグローバルサイン、ミクシィが賛助会員となっている。
活動の目的は「安全なイ ンターネット環境の実現に貢献する」ことで、一般ユーザーからの通報や自らのパトロールを通じてネット上に流通する違法・有害情報を把握し、警察へ通報するとともに、国内外のサイト管理者やプロバイダへの削除要請を実施している。
■国外サイトへの掲載が多い違法・有害情報
SIAは、特に深刻な被害をもたらす違法情報(児童ポルノ、リベンジポルノ、危険ドラッグ等)に対しては、自らパトロールを実施して把握に努めている。そうしたパトロール情報と、一般ユーザーから受け付けた通報による情報の合計は、この1年9か月間で、2万4003件にのぼる。うち違法情報は4079件、有害情報は39件。情報内容は「わいせつ表現」62%、「児童ポルノ」30%、「リベンジポルノ」5%、「規制薬物」2%、「その他」1%だった。
これら違法情報の94%、有害情報の82%は国外サイトに掲載されていた。掲載場所は、外国企業による日本向けサービス(SNSや動画投稿サイト)、海外ユーザーも利用する画像投稿・共有サイトなどで、国別では米国、英国、EUが多い。
■国外サイトでも高い削除率--国際的にも問題の深刻さ認識
国外サイトでは削除依頼が難しいと考えられがちだが、SIAの活動結果はそれを覆すものだった。違法・有害情報の削除率は、全体としては、削除依頼4254件(国内336件、国外3918件)に対し、国内84%、国外68%という結果である。しかし、児童ポルノについては国内92%に対し国外96%と、国外が国内を上回った。リベンジポルノについても、国外71%(国内81%)と、7割以上の削除対応が得られている。
また、削除依頼から実際に削除されるまでに要した期間をみると、全体では「2週間以内」が7割だが、児童ポルノは3日以内に4割弱、1週間以内に8割、2週間以内にほぼすべての情報が削除された。リベンジポルノへの対応はさらに迅速で、3日以内に約9割が削除され、残りも2週間以内にほぼすべて削除された。
その理由としてSIAは、児童ポルノ、リベンジポルノは特に深刻で対応を要する情報であると国際的にも認識されていること、これらの違法情報の掲載場所がSNSや動画投稿サイトなど一般消費者向けサービスであることを挙げている。サービス運営者はユーザーや児童保護のために悪質な情報の削除を望んでおり、SIAからの削除依頼を受けて問題の所在が明らかになれば、速やかな対応がなされることが多いという。
■早期の相談が被害軽減につながる
高確率で削除が実現しているリベンジポルノだが、掲載後日数が経ちSNSなどに画像が拡散してしまった場合、1件の相談あたりの削除依頼対象サイトが大きく増加することがある。早期に相談された場合は、数件の削除依頼ですみ、早期に全情報の削除が実現する例もあるという。万が一被害にあった場合は、できるだけ早くSIAや警察に相談することが被害の軽減につながると、SIAは呼びかけている。
(2015/10/06 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:SIA】
・セーフライン活動報告(2013年11月~2015年7月)[PDF]
http://www.safe-line.jp/wp-content/uploads/statistics_2015.pdf
・セーファーインターネット協会
http://www.saferinternet.or.jp/