「無料お試し期間が終了する。無料のうちに退会するなら連絡が必要だ」として、個人情報をだまし取ろうとするメールが4月以降、大量にばらまかれている。数日前からは「動画見放題プレミアムサービスの申し込みを受け付けた」として、心当たりのない場合は連絡するようにと誘うメールも出回っている。どちらも詐欺メールなので、相手にせず無視していただきたい。
無料期間が終了したというメールは数パターンあり、「料金のお支払いについて ご確認番号(数字)」「ご確認お願い」「5月(または6月)度分の継続利用料金のお知らせ」などといった件名で送られてくる。文面は少しずつ異なるが、無料期間中に退会手続きをしないと自動的に有料会員になり、料金は携帯電話料金に加算して請求するという内容だ。利用したというサービスの名称は書かれていない。
動画見放題サービスへの申し込みを受け付けたというメールは、「申込受付完了通知」という件名。本文は「(受信者のメールアドレス)様 お申込みありがとうございます」と始まり、もっともらしい「申込受付番号」「申込状況照会用パスワード」も記載されている。心当たりがない場合は受付窓口から連絡をするようにとあり、こちらもサービスの名称は書かれていない。
どちらのタイプも送信者のメールアドレスはGmailのもので、これだけでもおかしい。正式なサービスの運営者がフリーメールサービスのアドレスでメールを送ってくることは考えられない。さらに、利用したサービスの名称や利用した期間、後者のメールでは申込受付日が書かれていないことも、詐欺メールであることに気付く手がかりとなる。
しかし、メールの内容を信じて退会しなければと焦った人は、手続きをしようとしてメールのリンクを開いてしまうかもしれない。リンク先のページにはYouTube、niconico、GYAO!など有名動画サイトのアイコンがずらりと並び、「有料動画サイトにて同時登録がされています」「月額9,800円」「本日中に退会フォームへ送信してください」などと書かれている。退会フォームには氏名、住所、電話番号を書く欄があり、記入して送信すると、これらが詐欺師に知られてしまう。
■迷惑メールのリンクは「開かない」、SNSなどで「公開しない」
今回のメールもあてはまるのだが、迷惑メールに記載されているURLは、意味不明の文字が並べられているように見える。実は、このURLはメール一通一通に固有のもので、迷惑メール送信者はこれを使って送付先を追跡している。URLを開いてしまうと、メールアドレスが現在使われている有効なものであることや、受信者がこうしたメールを開いて信じてしまうタイプの人物であることが伝わってしまう。その結果、以降、迷惑メールが大量に送り付けられることになる。
また、SNSなどで自分が受け取った迷惑メールを公開している方を見かけるが、URLの部分もそのまま載せると、それを見た誰かが当該URLにアクセスすることも考えられる。結果、自分自身がアクセスしたときと同様に、あなたの受信トレイに迷惑メールが殺到することになる。URLにはメールアドレスをエンコードしたものが含まれていることもあり、この場合、見た人にちょっとした知識があればあなたのメールアドレスを入手できてしまう。注意していただきたい。
■個人情報を送信してしまったら
今回のケースで退会フォームに情報を入力して送信してしまった場合は、今後、あなたの名前と住所を記載した架空請求のメールが送られてくる可能性がある。さらに、ハガキによる架空請求も考えられる。どちらも無視してかまわないのだが、心配な方は最寄りの消費生活相談窓口を紹介してくれる「消費者ホットライン」(電話番号「188」番)、または「警察相談電話」(短縮ダイヤル「#9110」番)に電話しよう。いつでも無料で相談にのってくれる、安全で確かな公共機関だ。
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(2018/05/21 ネットセキュリティニュース)