オーストラリア連邦裁判所は5日、ピアツーピア(以下P2P)ファイル交換ソフト「Kazaa(カザー)」の開発会社などがユーザーによる著作権侵害を許容しているとの判決を下した。
この裁判は、ユニバーサル・ミュージック社など5大レコードレーベルを含むレコード会社約30社が原告となり、Kazaaの開発元であるシャーマンネットワークス社などを著作権侵害で提訴していた。KazaaのP2Pネットワーク上には、アルネット社が版権者の認可を得て作成および販売している合法的音楽ファイルと、ユーザーが非合法にアップロードした音楽ファイルが混在している。
裁判所は、被告側がこうした事実を知りながら、また技術的に非合法ファイルを抑制する方法があるにもかかわらず対策を講じなかったとして、被告側がユーザーの著作権侵害行為を容認したと認定した。
しかし、P2Pファイル共有自体は多くの利用者に有益な技術であるとして、2か月間の猶予期間内に、次の2つの条件のいずれかを満たせば、運営の継続を認めるとした。1つは、Kazaaシステムの新バージョンに「キーワードフィルタリング技術」を導入すること、もう1つは検索ソフトウェア「TopSeacret」の検索結果に、合法ファイルのみが表示されるように制限をかけることである。なお、「キーワードフィルタリング技術」導入を選択した場合、KazaaのWebサイト上で既存ユーザーに対して新バージョンのダウンロードを強制し続けることを条件としている。
(2005/09/07 ネットセキュリティニュース)
■Universal Music Australia Pty Ltd v Sharman License Holdings Ltd (includes summary) [2005] FCA 1242 (5 September 2005)(Federal Court of Australia)
http://www.austlii.edu.au/au/cases/cth/federal_ct/2005/1242.html