「ラグビーワールドカップ2019日本大会」のチケットを非公式サイトで購入してしまったというトラブル相談が相次いでいる。紛らわしい検索結果から公式と誤認してしまうもので、「確定申告」でも類似の手口が使われており、注意が必要だ。
■非公式サイト購入チケットは無効、誤認招く「広告」に注意
9月に開幕するラグビーワールドカップ2019日本大会のチケットを、非公式のサイトで購入してしまったという相談が各地の消費者相談センターに寄せられている。同大会では、非公式のサイトで販売されたチケットは利用できないことになっている。
●検索で上部に表示され、公式販売サイトと誤認
国民生活センターや東京都の注意喚起によると、「ラグビーワールドカップ2019日本大会」などと検索した際に、上部に表示された非公式のチケット販売サイトの広告を見て、公式チケット販売サイトが検索結果として表示されていると思い込んで、注文してしまうケースがみられるという。
●「売り切れ間近」で慌てて注文、気づいた時はすでに遅し
国民生活センターが公表した相談事例では、20歳代の女性がチケットサイトにアクセスしたところ、「売り切れ間近」などと表示されたため焦ってしまい、慌ててチケットを注文。注文確認メールにドル建てで料金が書かれており、手数料の負担も必要と記載されていたため不審に思い調べたところ、自分が申し込んだのは公式チケット販売サイトではなく、海外のチケット転売仲介サイトだったことがわかったという。
●トラブルにあった場合――すぐに相談やキャンセルの申し出を
国民生活センターは、チケット購入トラブルにあった場合は、すぐに最寄りの消費生活センター等に相談するようアドバイスしている。また東京都は、誤って転売仲介サイトでチケットを申し込んでしまった場合は、事業者に、公式サイトの転売チケットは無効だという案内を伝えて、キャンセルを申し出てみるようにと勧めている。
ラグビーワールドカップ2019組織委員会の公式ホームページでは、非公式チケット販売サイトの名称を具体的に挙げ、「これらのウェブサイトで販売されているチケットは利用できませんのでご注意ください。」と注意が呼びかけられている。
なお現在も、「ラグビー チケット」などと検索すると転売サイトの広告が最上部に掲載され、同大会のチケットを購入するよう誘っている。
・非公式チケット販売サイト一覧(ラグビーワールドカップ2019組織委員会)
https://info.tickets.rugbyworldcup.com/unofficial-tickets-ja/
・公式チケット販売サイト(ラグビーワールドカップ2019組織委員会)
https://tickets.rugbyworldcup.com
・ラグビーワールドカップ2019日本大会のチケット購入トラブルに注意!-チケットを購入する際には公式チケット販売サイトであることを確認しましょう!-(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20190207_1.html
・「ラグビーワールドカップ2019日本大会 公式チケットサイト」以外のウェブサイトでのチケット購入は気を付けましょう!(東京都)
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/sodan/kinkyu/190201.html
■「確定申告」でも類似の手口、誤認誘う広告に注意
この時期、2018年分の確定申告に向け準備を始めた方も多いと思われるが、検索サイトで「確定申告」「e‐Tax」(国税電子申告・納税システム)などと検索すると、公式サイトだと誤認させてクリックを誘うような広告がいくつも表示される状態だったことが話題になっている。
●「国税庁」「確定申告作成コーナー」で検索、誤解招く広告多数表示
ネット上でこの問題について語られ始めた今月7日ごろには、ある検索エンジンで“確定申告”と検索すると、「公式サイト」「国税 庁ホームページ」などと名乗る広告が表示される状態になっていた。また、“e-Tax”で検索すると、「確定申告書作成コーナー 国税庁」と書かれた広告が複数表示されていた。この検索エンジンでは、現在はこのような誤認を誘う広告は表示されなくなっている。
しかし、別の検索エンジンでは11日15時の時点で、“確定申告書作成コーナー”と検索すると「確定申告書等作成コーナーはこちら」という広告が表示され、“国税庁”と検索すると「確定申告書作成コーナー/国税庁」「確定申告 国税庁」と名乗る広告が表示される状態となっている。「広告」と小さく表示されてはいるのだが、検索結果の最上部に現れることから、うっかり公式サイトだと思い込んでアクセスしてしまう方もいると思われる。
●[今すぐ開始]や、[ここをクリック]で誘う怪しいアプリのダウンロード
表示されている広告をクリックして誘導先を調べてみたところ、あるサイトでは「早速、確定申告書を作成する!」と書かれているすぐ下に、[今すぐ開始]と書かれた大きな赤いボタンが設置されていた。よく見ると「From Doc to PDF」というアプリをダウンロードさせようとする広告が表示されているとわかるのだが、目立つボタンをわざとまぎらわしい位置に配置し、誤ってクリックするように仕向けていると思われる。この[今すぐ開始]ボタンは、「確定申告書等作成コーナーで確定申告するならこちら」「所得税の確定申告をするならこちら」と書かれたすぐ下にも配置されていた。
また、「(国税庁)作成コーナートップはこちら」と書かれたすぐ下には、[ここをクリック]という緑色の大きなボタンが置かれており、こちらは「Search Forms Online」というアプリの広告だった。どちらもインストールする必要がまったくないアプリで、ブラウザを乗っ取って起動時のホームページを勝手に変えてしまうという報告が多数、ネット上で見つかる。
なお誤解を招かぬよう、誘導先のサイトでは、怪しい所の全くない、正規のソフトやサービスの広告も表示されていたことをお伝えしておきたい。
■過去のトラブル事例:行政窓口を装うサイトや攻撃サイト等へ誘導
誤認を誘う広告から想定外のサイトにアクセスしてしまった結果、以下のようなトラブルが発生している。
・架空請求に困って相談窓口を検索した結果、行政の公式窓口だと思って相談したら料金を請求された
・個人情報をだまし取るフィッシングサイトに誘導された
・マルウェア(ウイルス)に感染させる攻撃サイトを開いてしまった
検索結果には広告が表示されることがあるということと、全く問題のない広告に交じって、悪質な広告が表示されることがあるということを知っておきたい。
(2019/02/12 ネットセキュリティニュース)