スパイウェアを使って暗証番号などを盗み出し、ネットバンキングを通じて預金を不正に送金した事件で警視庁は10日、千葉県千葉市在住の無職の男(34)を不正アクセス禁止法違反および電子計算機使用詐欺の疑いで逮捕。共犯と見られる東京都江戸川区の元会社員(31)を指名手配した。
調べでは、容疑者らは今年6月に川崎市内の貴金属店に苦情を装ったメールを送付し、添付ファイルを開いてスパイウェアに感染した同店のパソコンから、ジャパンネット銀行の暗証番号などを入手。7月1日に同店の口座から容疑者らが管理する口座に、約21万円を不正に送金した疑い。
一連のスパイウェア事件では同行のほか、イーバンク銀行、みずほ銀行、大川信用金庫(福岡県大川市)の顧客、計10先から約1,140万円の被害が確認されている。
また、千葉銀行や北陸銀行、城北信用金庫の顧客にスパイウェアの入ったCD-ROMが送付された一連の事件についても、犯行をほのめかす供述をしているという。同CD-ROMをインストールするとパソコンがスパイウェアに感染し、ネットバンキングのIDとパスワードが盗まれる仕組み。千葉銀行の口座から数百万円が不正に送金される被害が報告されている。
スパイウェアによる不正送金では、2003年3月に1600万円詐取で、2004年11月には36万円とオークションIDなどの詐取で逮捕者が出ているが、いずれもネットカフェのパソコンにスパイウェアを仕掛ける手口だった。メールやCD-ROMを送り付け、直接ユーザーのパソコンに仕掛ける手口での逮捕は、今回がはじめて。
■7月1日に発生した不正振込事件の容疑者逮捕の報道について(ジャパンネット銀行)
http://www.japannetbank.co.jp/news/general2005/051110.html
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