Telecom-ISAC Japan(日本データ通信協会、東京都千代田区)とマイクロソフト(MS社、本社:東京都渋谷区) は、ファイル共有ソフトWinny(ウィニー)に感染するウイルス Antinny(アンティニー)の駆除について21日、対策の成果を報告した。MS社は同協会から、Antinny駆除に対応した「悪意のあるソフトウェアの削除ツール(MRT)」の提供を要請され、先月12日に同ツールをリリース。1か月経過した時点での成果をまとめたもの。
Antinnyに感染したパソコンは、コンピュータソフトウェア著作権協会 (ACCS)サイトへの攻撃を開始することから、Antinnyの駆除状況は、ACCSへの攻撃状況を把握することで推測が可能だ。発表によると、10月12日のMRTリリース以降、ACCSサイトに対する Antinny感染パソコンからの「攻撃数」はリリース前と比べて約40%減少、同じく「攻撃トラフィック」は30%超減少している。MS社によるとこの1か月間、MRTは約2億回を超えて稼動し、11万台のコンピュータから20万を超えるAntinnyワームを駆除したという。ACCSへの攻撃減少は、その成果を示すものといえる。
だが、脅威がなくなったわけではない。リリース後の攻撃の減少割合から、日本国内には単純計算でも17万台以上、おそらく数十万台のAntinny感染パソコンがあると推測されるという。両社は、ウイルス対策ソフトやWindows Updateによる対策を強く呼びかけている。
【解説:Antinny(アンティニー)】
ファイル共有ソフトWinnyに感染するワーム型ウイルス。一昨年8月に発見されて以来、悪質な亜種が次々に登場している。昨年3月に見つかった暴露型はとくに悪質で、パソコンに保存されているファイルやパソコン画面のスクリーンショットを勝手にWinnyネットワークに公開してしまうため、企業や官公庁、自治体などで機密文書や個人情報の漏えいが頻発するなど深刻な問題を引き起こしている。
(2005/11/28 ネットセキュリティニュース)
■Telecom-ISAC Japan、マイクロソフトと共同しMalware対策で成果(日本データ通信協会)
https://www.telecom-isac.jp/news/news20051121.html
https://www.telecom-isac.jp/news/tisac_51121.pdf[PDF]
■マイクロソフト、Telecom-ISAC Japan と協力し、20万を超えるAntinny ワームの駆除に成功 (マイクロソフト)
http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=2504
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