ファイル共有ソフトwinny(ウィニー)のウイルス感染による情報流出が、さらに激しさを増している。今週水曜日に3件の情報流出をお知らせしたばかりだが、その後24日までに新たに明らかになった5件について掲載する。海上自衛隊の秘密資料、地裁や地検の内部資料など、公開があってはならない情報が次々と流出している。
■海上自衛隊:護衛艦「あさゆき」海曹長の私有PCが感染、秘密情報流出
海上自衛隊(以下、海自)の艦船のコールサインや暗号リストなどの秘密情報や、佐世保基地に配備されている護衛艦「あさゆき」の隊員数十名分の名簿など、大量の海自関連の秘密情報、個人情報がインターネット上に流出していることが明らかになった。「あさゆき」で通信業務に従事する海曹長の私有パソコンが流出元であることが23日、海自の調査で判明した。海曹長は規則に反し、許可なく当該データをコピーして私物パソコンに保存、ウイルス感染により流出する事態となった。流出情報は「秘密」にあたるデータで、より秘匿性が高い「機密」「極秘」データは流出していないという。小泉首相は23日に再発防止策の策定を指示、防衛庁は事故調査委員会を設置し、事実関係の調査と再発防止策を検討している。
・海上自衛隊
http://www.jda.go.jp/JMSDF/
■東京地裁:書記官の私有PCが感染、不動産競売などの個人情報流出
東京地方裁判所が2001年までに執行した不動産競売や差し押さえなどに関する文書がインターネット上に流出していることが24日、明らかになった。流出文書は1000個にのぼり、競売などの当事者149名分の氏名、住所が含まれているという。内閣官房情報セキュリティセンターが20日に流出に気づき、連絡を受けた最高裁が調査。流出元は東京地裁に勤務する書記官の自宅の私有パソコンであることが判明した。最高裁は全国の裁判所職員に同日、ネットに接続している私有パソコンに業務上の情報を保存しないよう指示を出した。東京地裁は情報が流出した個人に直接謝罪を行うとしている。
・東京地裁
http://courtdomino2.courts.go.jp/K_home.nsf/CoverView/HP_C_Tokyo?OpenDocument
■宮崎地検:事務官の私有PCが感染、交通事件容疑者らの個人情報流出
宮崎地方検察庁は21日、管内に勤務していた検察事務官の私有パソコンから、交通関係の事件にかかわる個人情報がインターネット上に流出していたと発表した。流出したのは、スピード違反など交通事件の容疑者や参考人、計8名の氏名や住所など。当該事務官が2000年4月に異動する際に作成した引継ぎ資料の一部で、自宅で使っていたパソコンに保存していたものが、ウイルス感染により流出したものと見られる。
・宮崎地検
http://www.kensatsu-kyoukai.gr.jp/ppo/ppo_miyazaki.html
■名古屋市消防局:消防士の私有PCが感染、非公開連絡先含む業務資料流出
愛知県名古屋市消防局指導課に所属する消防士長の私有パソコンから、非公開の連絡先や個人情報を含む消防業務関連資料が流出していたことが23日、明らかになった。20日に総務省から連絡を受けて判明したもので、流出ファイルは1,980件にのぼるという。同指導課では昨年11月にもWinnyのウイルス感染による情報流出が起きている。名古屋市消防局は全職員に対し、Winnyの使用禁止も含め、情報管理について指導したという。
・名古屋市
http://www.city.nagoya.jp/
■栃木県警:巡査の私有PCが感染、個人情報を含む捜査資料流出
栃木県警鹿沼署刑事課に所属する巡査の私有パソコンから、個人情報を含む捜査資料がインターネット上に流出していたことが22日までに明らかになった。捜査資料には、聞き込み捜査に協力した2世帯、計5名分の住所、氏名が記載されていた。当該巡査が昨年12月、規定に反し許可なく持ち帰ったデータを私有パソコンに保存していたもので、今年1月にインターネットの掲示板に掲載されているのを警察庁が発見、県警に連絡して流出が発覚したという。当該巡査は懲戒処分を受けている。
・栃木県警
http://www.pref.tochigi.jp/keisatu/
(2006/02/24 ネットセキュリティニュース)