政府が自粛を呼びかけてから1か月以上が過ぎ、回避策のない深刻な脆弱性の存在も報告されたWinny(ウィニー)だが、相変わらず利用者も流出者も一向に減る気配を見せない。朝日新聞社では学生アルバイト170名の個人情報、四国電力では火力発電所の教育資料、阪神高速道路では要人が高速道路を利用した際の予定表など内部資料が業務委託会社から流出した。
■朝日新聞社、学生アルバイト170名の個人情報流出
朝日新聞社は25日、同社東京総局(東京都千代田区)でアルバイトをしていた大学生ら約170人分の個人情報が、Winnyを通じてインターネット上に流出していたと発表した。同社によると、流出したのは2003年から2005年までの夏の高校野球東西東京大会で、スコアラーなどを務めたアルバイトの名簿や勤務表。約140名分の名簿には、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、銀行の口座番号が記載されており、約30名分の勤務表には氏名、住所、通勤経路が含まれていた。当時の学生アルバイトの1人が自宅のパソコンにこれらデータを保存していたところ、最近になって流出したという。
・朝日新聞社
http://www.asahi.com/
■四国電力、火力発電所の教育資料など流出
四国電力(本店:香川県高松市)は25日、西条発電所(愛媛県西条市)に勤務する社員の私有パソコンから、火力発電所の業務情報がWinnyネットワーク上に流出したと発表した。同社によると、流出したのは西条発電所の運転操作に関する教育資料や、社員本人が受講した研修レポートなどの14ファイル。いずれも機密情報や顧客の個人情報は含まれていないという。流出は今月24日に原子力安全・保安院からの連絡により判明。同社は、情報管理の徹底周知を行うとともに、私有パソコンでの業務情報有無の再調査・確認、Winnyによる情報流出に関する説明会を実施するとしている。
・当社社員の個人所有パソコンからの業務情報流出について(四国電力)
http://www.yonden.co.jp/press/re0604/j0ypr006.htm
■阪神高速道路、受託会社の内部資料が流出
阪神高速道路(本社:大阪市中央区)は24日、公団時代の2003年当時に交通管理業務を委託していた「高速道路管理(大阪市北区、現在は営業休止中)」から、受託会社内で作成した内部資料がネットワーク上に流出したと発表した。同社は、社内の情報管理の徹底を図るとし、委託先の各社には情報管理の強化を指示した。流出していたのは、皇太子ご夫妻や中国の要人が高速道路を利用した際に作成された、経路や通過時刻が書かれた予定表、高速道路の管理資料や報告書など。高速道路管理社の社員79人分の社員証データなども含まれていた。
・受託会社からの情報流出についてのお詫び(阪神高速道路)
http://www.hanshin-exp.co.jp/drivers/driver/topics/2006-0425-1033-9.html
(2006/04/26 ネットセキュリティニュース)