愛媛県警察本部捜査第一課の警部(42歳)の私有パソコンがファイル交換ソフトWinny(ウィニー)のウイルスに感染し、被疑者や被害者らの個人情報を含む捜査資料がインターネット上に流出した問題で、県警は16日、「調査結果報告書」を公表。同日付で警部を停職3か月の懲戒処分に、流出当時の上司である刑事部参事官を「本部長訓戒」にするなど、計7名の関係者に対し処分を実施した。
報告書によると、外部に流出したことが確認されたファイルは、1984年頃から2003年末頃までに作成された合計約3,500ファイル。全ファイルの内容を精査した結果、当初約4,200人としていた個人情報は、約6,200人に及ぶものと判明した。
3,500ファイルのうち2,050ファイルは、県警内部でも管理していた被疑者や被害者らの供述調書や捜査報告書などの資料。これらの中には、その後の報道で問題視されたNシステム(自動車ナンバー自動読み取り装置)で取得した車両データや、捜査対象者の車にGPS(全地球測位システム)を取り付けて行動を監視していた捜査資料などが含まれていたが、報告書ではこれらを、捜査として許容される範囲内とした。
残り1,450ファイルは警部の個人資料で、報道で問題視された取調べ要領や捜査協力者への謝礼交付に関するものなどが含まれていた。
取調べ要領には、違法な取調べを示唆する記述があったが、時間をかけて被疑者の頑なな心を開かせることの重要性を伝えようとしたベテラン捜査官からのメモだといい、違法な取調べ手法を肯定する趣旨ではないとした。謝礼交付を記載した「捜査報告書」と題する文書では、記載された複数の協力者に協力や謝礼受領の事実がないことが指摘されたが、実在する人物を便宜上仮名として記載したり、謝礼交付を前提に作成したものの交付には至らなかったメモが消去されずに残っていたとし、捜査費の不適正使用はないと結論付けた。
(2006/06/19 ネットセキュリティニュース)
■捜査資料流出事案に伴う調査結果について[PDF](愛媛県警察)
http://www.police.pref.ehime.jp/soumu/ryusyutu_chousa.pdf
【参照記事:警察関係者からの情報流出】
・岡山県警察、再委託先から「交通規制管理システム」のデータ流出(2006/05/30)
・大阪府警から「捜査書類ひな型」、兵庫県警から「供述調書下書き」流出(2006/04/22)
・愛媛県警:警部の私有パソコンが感染、捜査の重要資料流出(2006/03/09)
・岡山県警倉敷署:巡査長の私有PCが感染、1,500人分の捜査資料が流出(2006/03/06)
・栃木県警:巡査の私有パソコンが感染、個人情報を含む捜査資料流出(2006/02/24)
・厚木署から空き巣の捜査資料流出(2006/02/02)
・広島県警の警察官住所録33名分がWinnyネットに流出(2005/11/28)
・愛知県警の捜査情報が流出、巡査私有PCのWinny感染で(2005/06/27)