総務省は先月30日、同省が主催する「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会」が報告書案を取りまとめたと発表した。同研究会はネット上で流通し、大きな社会問題になっているわいせつ情報や中傷書き込みなどへの対応を、昨年8月1日から検討してきた。
報告書案では、プロバイダや電子掲示板の管理者などによる自主的対応について、日々の情報流通量が膨大であることなどから限界があると指摘。違法・有害情報を放置または削除した場合の管理者の法的責任が明確でないことも、自主的対応を妨げているとしている。
このことから、自主的対応を支援するため、情報の違法性を判断する専門機関の設置や対応手順などのガイドラインの策定、電気通信事業者団体などによる有害情報のモデル約款の策定を提言している。青少年にとって有害な情報にはフィルタリングの導入による対応を推奨している。
違法・有害情報による被害者救済には、被害者が加害者の「発信者情報」を請求したときに迅速かつ適切に対応する必要がある。その手続きのガイドライン策定も提案しており、同ガイドラインには掲示板管理者などが発信者情報を任意に開示できる事例を盛り込む。インターネットの匿名性にもふれ、匿名による表現の自由や通信の秘密に配慮しながら、可能な対応を検討するとしている。
総務省では同報告書案に対する意見を21日まで募集している。
(2006/07/04 ネットセキュリティニュース)
■「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会 最終報告書案」(PDF)
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/060630_11_1.pdf
■「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会最終報告書案」に対する意見募集(総務省)
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060630_11.html
【関連記事:ネットセキュリティニュース】
・インターネット協会、違法・有害情報の通報窓口「ホットライン」運用開始 (2006/06/06)
・総務省、ネット上の違法・有害情報対策の研究会開催(2005/08/01)
・政府が「インターネット上の有害情報防止策」まとめる(2005/07/01)