安倍晋三官房長官が、国民にファイル共有ソフトWinny(ウィニー)の使用自粛を呼びかけて半年。官房長官は首相に就任し内閣の顔ぶれは一新したが、Winnyを介した情報流出はあの頃のまま。また新たに3件の流出事故が明らかになった。和歌山市消防局は1年近く前に流出した資料が今月になって発見されたものだが、埼玉県の学習塾は7月の、香川県の有線放送は今月の流出事故だ。
■和歌山市消防局、職員の勉強会用資料が流出
和歌山市消防局は25日、同局職員の私有パソコンから火災の調査報告書を作成するための資料が流出したと発表した。流出したのは、昨年9月に行った職員の勉強会用に作成した資料で、個人情報などは含まれていない。同局によると、当該資料を私有パソコンに保存することは禁止しておらず、職員のひとりが自宅のパソコンに保存していたところ、昨年10月21日ごろにウイルスに感染し流出。今月19日に総務省からの連絡で判明した。
同局では今年3月にWinnyを使用しないよう職員に通達していたが、今回の流出事故を受けて、さらなる注意喚起を促す通達を出した。
・和歌山市HP
http://www.city.wakayama.wakayama.jp/
■国大セミナー、生徒の名簿や成績など3,617件が流出
埼玉県下を中心に学習塾を展開している国大セミナー(さいたま市浦和区)で、生徒の名簿などの個人情報3,617件が流出していたことが25日までにわかった。同社によると、流出したのは2004年と2005年の卒業生2,188名分の氏名、校舎、生年月日、住所などが記載された2,188名分の名簿、2005年の蒲生校と草加校の生徒127名分の名簿、同年中学3年生だった生徒502名分のテストの成績表、同年夏期講習会の未払い者300名のリスト、500名分の校舎別講師名簿など。
昨年2月に退職した元社員が在職中に、これらデータを私有パソコンに保存していたところ、今年7月16日ごろウイルスに感染し流出した。同社では7月19日に流出を確認し、該当者に書面を送付するなどして経緯を説明するとともに、7月28日に経済産業省などに報告書を提出。8月には同社広報物で今後の対応策を発表していたが、ホームページ(HP)などでは公表していなかった。
今月23日、インターネットの掲示板に塾生2,000件以上の名簿が流出しているとの書き込みがあり、週が明けた25日に読売新聞が報道。これを受けて26日昼前、ホームページに事故報告を掲載した。
・お客様情報等の流出に関するお詫びとお知らせ(国大セミナー)
http://www.kokudai.com/owabi/owabi/index.html
■キャンシステム、有線放送の顧客情報526件が流出
全国で有線音楽放送などを展開するキャンシステム(本社:東京都杉並区)は19日、同社高松営業所(香川県高松市)の社員の私有パソコンから、顧客情報526件を含む業務資料が流出したと発表した。同社によると、流出したのは同営業所の有線放送設置情報の一部で、個人名(名字のみ)、住所、電話番号など3件と、店名・社名、住所、電話番号など523件が含まれていた。
当該社員は、Winnyがインストールされた私有パソコンにこれら情報を保存していたところ、今月4日ごろにウイルスに感染し流出。同社では、12日に流出の事実を確認し、該当者に書面を送付するなどして個別に事情説明と謝罪を行った。
・お客様情報流出についてのお詫びとお知らせ[PDF](キャンシステム)
http://www.cansystem.co.jp/pdf/20060919.pdf
(2006/09/27 ネットセキュリティニュース)
【関連記事:ネットセキュリティニュース】
4月以降に掲載した「学習塾」「消防」のWinny情報流出
■学習塾
・09/19 寺小屋グループ
・08/05 東京個別指導学院
・04/18 栄光
■消防
・09/01 板野東部消防組合(徳島県):Shareからの流出
・06/27 北九州市消防局(福岡県)
・06/05 貝塚市消防本部(大阪府)
・05/30 枚方寝屋川消防組合(大阪府)
・05/02 可茂消防事務組合(岐阜県)