文部科学省中央教育審議会は1月30日、青少年育成に関する答申の中で、未成年者に携帯電話を販売する際、出会い系サイトや有害サイトへのアクセスを制限する「フィルタリング」機能を標準装備とするよう提言した。この答申を受け、文部科学省は近く携帯電話各社に標準装備を要請する方針を固めた。
同審議会は取り組むべき課題の一つとして、「情報メディア環境の見直し」をあげている。とくに携帯電話に関しては、子どもとの連絡手段としての携帯「電話」と考える保護者と、メール送受信やインターネット閲覧等のさまざまな機能をもつ情報端末「ケータイ」ととらえる青少年側との間で、認識にギャップがあることを指摘。その結果、保護者の予想を超える使い方が行われ、犯罪やトラブル、いじめなどが起きていることから、未成年者へ販売する携帯電話にはフィルタリングソフトの標準装備と設定を強く求めるとしている。
KDDIは早速その標準化を打ち出し、今月5日、未成年者契約時のフィルタリングサービス申し込みに親権者の意思確認を必須とすると発表した。今月13日から未成年者が契約する際には、同社のフィルタリングサービス「EZ安心アクセスサービス」の申し込みに関して親権者の意思確認を必須とする。同時に、同サービスのほか、EZwebからのアクセスを料金照会やauホームページなどのみとする「EZWeb利用制限」「有料サイト利用制限」の対象年齢と、各アクセス制限サービス廃止時の親権者同意書提出年齢を、現在の18歳未満から20歳未満に引き上げる。
フィルタリングサービスの普及に関しては、総務省が昨年11月に、電気通信事業者協会および携帯電話事業者3社(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル)に対し、普及促進に取り組むよう要請した。また今年1月には、フィルタリングに関わる製品やサービスを提供している企業・団体などで構成するフィルタリング連絡協議会が、フィルタリング普及啓発のためのリーフレットを発行している。
(2007/02/07 ネットセキュリティニュース)
■「次代を担う自立した青少年の育成に向けて」(答申)[PDF](文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/07020115/001.pdf
■中央教育審議会 「次代を担う自立した青少年の育成に向けて」(答申)について(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/19/01/07020114.htm
■有害サイトアクセス制限サービス(フィルタリングサービス)の更なる普及促進に向けた取り組みの実施について(KDDI)
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2007/0205/index.html
■~インターネットの有害サイトから子どもを守るために~リーフレット『フィルタリングを知っていますか?』の発行(フィルタリング連絡協議会)
http://www.iajapan.org/filtering/press/20070110-press.html
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