ファイル共有ソフト「Winny(ウィニー)」と「Share(シェア、シャレ)」からの情報流出が3件明らかになった。今月公表された情報流出は、Winny 10件、Share 4件の計14件。報道が過熱し始めた昨年の同時期(23件)に比べると減ってはいるが、過去数か月間では最も多い月となった。山梨県下の流出事故が公になるのは今回が初めてであり、流出ゼロを更新し続けているのは、山形、長野、奈良の3県のみとなる。
■山梨県警、容疑者や被害者610名の個人情報を含む捜査資料が流出
山梨県警察本部は23日、県内で起きた事件の捜査情報がインターネット上に流出したと発表。25日夜に記者会見を開き、甲府警察署(甲府市)の地域課に勤務する巡査長(28歳)の私有パソコンから、ファイル共有ソフトWinnyを介して流出した事を認め謝罪した。
流出した捜査資料は、主に巡査長が以前に勤務していた長坂警察署(北杜市)で扱った2004年頃のもので、事件や証拠品の一覧表など。事件の容疑者40名と被害者や参考人570名の氏名や住所などの個人情報のほか、事件に関係した会社や店舗などの情報140件が含まれていた。
23日朝方、ネット掲示板に未明に感染・流出したばかりとみられるファイル名が「警察」とだけ記されて報告。昼前には警視庁から県警に連絡があったようで、その日の夜にはNHKをはじめとするメディア各社が取り上げるという異例の速さで公表されたものの、詳しい内容については、調査中を理由に週末の取材には応じてもらえなかった。
愛媛や岡山での相次ぐ捜査情報流出を受け、県警では昨年3月16日、全職員に対し「Winnyを使用しない」との誓約書の提出を指示。私有パソコンは使用登録をし、業務情報を扱う場合には許可を得るなどの内容も盛り込まれていた。11月には使用しているパソコンの点検も行っていたというが、一部報道によると、巡査長は2台所有するパソコンのうち1台だけを申告し、隠れて使い続けていたらしい。県警は、早急に公私すべてのパソコンの確認・点検を実施するとしている。
・警察情報の流出事案についてのお詫び(山梨県警察)
http://www.pref.yamanashi.jp/police/soumu/osirase.htm
■アステラス製薬、子会社から顧客情報など239名分流出
製薬メーカーの大手アステラス製薬(旧山之内製薬と藤沢薬品工業、東京都中央区)は26日、同社の原薬生産子会社アステラスファーマケミカルズ(茨城県高萩市)の取引先関係者など239名分の個人情報を含む業務関連情報がWinnyネットワークに流出したと発表した。
流出したのは取引先企業194名と子会社の社員45名の氏名や連絡先などの個人情報と、取引に関する情報、同社と子会社の営業上および技術上の情報。信用情報や医療関係者の個人情報などは含まれていない。
同社によると、当該子会社の社員が昨年3月ごろ、システムに保管されているデータのバックアップを内規に反して私有の外付けハードディスク(HDD)に作成した。その後、HDDをWinnyがインストールされた当該社員の私有パソコンに接続したところ、ウイルスに感染して流出。今月21日に外部からの連絡で判明した。
・「Winny」による業務関連情報(個人情報を含む)の一部流出について[PDF](アステラス製薬)
http://www.astellas.com/jp/company/news/2007/pdf/070226_2.pdf
■イタリアンレストラン「パパーレ」の顧客情報152名分が流出
さいたま市内のイタリアンレストラン「パパーレ」などを運営するコーフク(さいたま市大宮区)は23日、同店の職員が自宅で使用してる私有パソコンがウイルスに感染し、152名分の顧客情報がShareネットワーク上に流出したと発表した。
流出したのは、2005年7月頃から2006年8月頃までに同店で会員カードを申し込んだ顧客140名の氏名、住所、電話番号、職業、生年月日などと、2005年11月~翌年1月に宴会を予約した顧客12名の氏名、住所、電話番号、会社名など。クレジットカード番号などの信用情報は含まれていない。
同社によると、通常は顧客情報の持ち出しは行っていないが、職員がダイレクトメールなどの発送のために自宅のパソコンで作業を行い、使用したデータを削除し忘れていたところ、今月14日にウイルスに感染・流出。19日に外部からの連絡で判明した。
なお、リリースでは「Winny」となっているが実際には「Share」を介した流出であり、同社は「お客様に理解しやすいよう、ファイル共有ソフトの代名詞として広く知られている名前を使用した」とコメントしている。
(2007/02/27 ネットセキュリティニュース)
【警察署からの流出:ネットセキュリティニュース】
・2006/06 熊本県警察(昇任試験の解答集)
・2006/05 岡山県警察(交通規制管理システムのデータ)
・2006/04 兵庫県警察(参考人供述調書下書き中の画面)、大阪府警察(捜査書類のひな型)
・2006/03 愛媛県警察(捜査資料:個人情報6,200人)
・2006/03 岡山県警察(捜査資料:個人情報1,500人)
・2006/02 栃木県警察(捜査資料:個人情報8人)
・2006/01 神奈川県警察(捜査資料:個人情報21人)
・2005/11 広島県警察(警察官の名簿:個人情報33人)
・2005/06 愛知県警察(捜査資料:個人情報6人)