「お祈りパンダ」ウイルスの名で知られる「W32/Fujacs」を作成したとして今年2月、中国湖北省武漢市在住の無職男性(25歳)を含む容疑者6人が湖北省公安庁に逮捕された。容疑者が作成した駆除ソフトの公開も検討中と伝えられているが、その矢先、新たな亜種が出現したことが米Kaspersky Labの報告により明らかになった。容疑者はウイルスコードを12人に10万元(約1万2,500ドル)で販売していた。
「W32/Fujacs」はアイコンをすべて「お香を手に祈る二頭身のパンダ」の絵に変えてしまう亜種があることから、「お祈りパンダ」「パンダウイルス」などと呼ばれている。Windowsの脆弱性を突いて感染するほか、主にホームページ作成時に使用するファイルに感染してウェブサイトを介して感染を広げる亜種や、ネットワークの管理者パスワードや共有フォルダのパスワードが簡易であれば見破って感染を広げる亜種もある。感染するとスパイウェアを埋め込んだり、オンラインゲームなどのアカウントを盗んだりする。
中国では何百万台ものコンピューターが感染したことから「中国最悪のウイルス」とも呼ばれた。日本でも2006年12月から2007年1月にかけて、感染報告が情報処理推進機構セキュリティセンター(IPA/ISEC)に多く寄せられていた。今回の事件をふまえ、中国の全国人民代表大会ではサイバー犯罪を取り締まる新しい法律の必要性が宣言された。
(2007/03/20 ネットセキュリティニュース)
■中国政府、ハッカーが作成したパンダウイルス修正のリリースを検討(ソフォス)
http://www.sophos.co.jp/pressoffice/news/articles/2007/02/fujacks-fix.html
■お祈りパンダウイルス容疑者逮捕(ソフォス)
http://www.sophos.co.jp/pressoffice/news/articles/2007/02/fujacks-arrest.html
■Chinese police consider releasing hacker's Panda virus fix [英文](SOPHOS)
http://www.sophos.com/pressoffice/news/articles/2007/02/fujacks-fix.html
■Police to release anti-virus program written by "panda" virus author [英文](新華社)
http://news.xinhuanet.com/english/2007-02/14/content_5739792.htm
■W32/Fujacks: Panda Malware Breeders Arrested[英文](McAfee Avert Labs Blog)
http://www.avertlabs.com/research/blog/?p=200
【ウイルス情報】
■W32/Fujacks.z(マカフィー)
http://www.mcafee.com/japan/security/virF.asp?v=W32/Fujacks.z
■W32.Fujacks.BH[英文](Symantec)
http://www.symantec.com/enterprise/security_response/writeup.jsp?docid=2007-031421-2901-99
【関連記事:ネットセキュリティニュース】
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