政府の知的財産戦略本部(本部長・安倍晋三首相)は先月31日、「知的財産推進計画2007」を公式決定した。海賊版対策の強化を目指し、インターネットオークションへの海賊版の出品や、海賊版のダウンロードを違法とする方向で法整備を検討する方針が示された。
各種ソフトやアニメDVDなどの海賊版をネットオークションに出品、販売する事件が多発しているが、これらの著作権違反行為は「親告罪」とされ、著作権の侵害を受けた被害者が告訴しなければ犯人の逮捕などといった捜査に踏み込むことができない。これを「非親告罪」とすれば通報だけで捜査を開始することができる。政府は今年度中に「非親告罪」の範囲拡大を含めて見直しを行い、必要に応じ法改正等制度を整備する。
また、ネットオークションでの模倣品・海賊版の取引を防止するため、海賊版の出品自体を権利侵害とすることについても、今年度中に検討して法制度を整備する。現行法の規定ではネットオークションへの海賊版出品は「広告」と見なされて取り締まることができないが、出品行為自体を取り締まり対象にできるようにする。
海賊版CDやDVDからの私的複製やインターネット上で無断配信されている著作物のダウンロードについても、これらを「私的複製」の許容範囲から除外する方向で見直しを進める。合法的な新しいビジネスの動きを支援するためで、「個人の著作物の利用を過度に萎縮させることのないよう留意しながら」検討し、2007年度中に結論を出すとしている。
ネットオークションを通じた海賊版の販売は、直近でも小学校教諭がカーナビソフトの海賊版を販売していたことが先月28日に、男2名が同じくカーナビソフトの海賊版を販売していたことが同月31日に、明らかになっている。
(2007/06/04 ネットセキュリティニュース)
■知的財産推進計画2007[PDF](知的財産戦略本部)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/kettei/060531keikaku.pdf
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