ネットを使った薬物売買により、密売人や購入者が逮捕される事例が後を絶たない。今年に入って、すでに覚せい剤と大麻の密売で5件、向精神薬で1件の逮捕事例が明らかとなっている。
これら薬物の密売には携帯サイトが利用されることが多く、密売者は、覚せい剤では「スピード、S、アイス、つめたいの」、大麻については「チョコ、草」など、ストリートネーム(隠語)を使って客を勧誘する。代金は口座振込みや代引きで支払い、薬物は郵便や宅配便などで送られてくるなど、危険な薬物が“簡単に”入手できてしまう。だがもちろん、買うほうにも売るほうにも、厳しい処罰が課せられる。「(買うほうも犯罪なので)訴えられないだろう」とふんで、偽覚せい剤を売りつけていた例もあるが、客から訴えられなくても摘発の手は回った。
■大阪府の男、2ちゃんねるを使って覚せい剤を密売
8月、覚せい剤を密売したとして、大阪府の男(37歳)と住所不定の男(42歳)が麻薬特例法違反などの容疑で再逮捕・逮捕された。2人は、2ちゃんねる上に「代金後払い」などと書き込んで注文を受け、昨年9月から今年1月にかけ、220人に覚せい剤を密売していたという。再逮捕された37歳の男は、Yahoo!オークションで詐欺を行ったとして公判中だった。
■福岡県の男、携帯サイトを使って女子高生に覚せい剤を密売
7月、携帯サイトを使って女子高校生に覚せい剤を密売したとして、福岡県の男2人が覚せい剤取締法違反容疑で逮捕・起訴された。2人は昨年6月、掲示板サイトに書き込みをして、連絡をしてきた福井県内の女子高生(当時16歳)に覚せい剤を密売。女子高校生が覚せい剤所持の現行犯で逮捕されたことから、逮捕・起訴に至った。また、別に十数人の客がいたらしい。
■神奈川県の女、mixiを使って向精神薬を密売
6月、mixiを使って、強い習慣性のある向精神薬、リタリンを販売したなどとして、神奈川県の女(24歳)が麻薬取締法違反などの容疑で逮捕された。女は2006年10月から今年4月にかけて、知人のIDとパスワードを使ってmixiに不正アクセスし、リタリンに関心があるメンバーが集まるコミュニティを利用して、埼玉県や福岡県の男ら3名にリタリンを密売していたらしい。
■大阪市の男女、ネット掲示板を使って覚せい剤を密売
6月、ネットの掲示板を使って覚せい剤を密売していたとして、大阪市の男(33歳)と女(28歳)が覚せい剤取締法違反容疑で逮捕された。2人は2005年からネットの掲示板に「しゃぶ亭」の名前で「はやい、やすい、つめたい」などと書き込み、代金引換郵便や手渡しなどの手段を使って130人以上に覚せい剤を密売していたという。
■住所不定の男、携帯サイトを使って覚せい剤や大麻を密売
3月、携帯サイトを使って覚せい剤や大麻などを密売していたとして、住所不定の男(34歳)が麻薬特例法違反の容疑で追送検された。また、客32人も覚せい剤取締法違反容疑などで逮捕・送検された。男は2006年2月から9月にかけ、携帯サイトで客を勧誘し、300人以上に覚せい剤や大麻を宅配便で送って、代金を口座に振り込ませていたという。
■北海道の男、携帯サイトを使って大麻を密売
1月、北海道に住む暴力団員の男(21歳)ら3人が、携帯サイトを使って大麻を密売していたとして、麻薬特例法違反などの容疑で逮捕された。また17都道府県の客42人も大麻取締法違反の容疑で逮捕・送検された。男らは、サイトに「道産子の大麻格安で売ります」などと書き込み、客に送金させた後、乾燥大麻を宅配便で送っていたという。男らは、2005年3月から2006年10月までに、約700人に大麻を売っていたらしい。
■ネット掲示板で覚せい剤密売、千葉県の男に懲役11年
6月、ネットの掲示板を使って覚せい剤や大麻を密売したとして、覚せい剤取締法違反などの罪に問われていた千葉県の男(36歳)に、懲役11年、罰金300万円、追徴金1億118万円の判決が下った。男は、2005年7月から2006年5月までの間に、客500人以上に覚せい剤や大麻を密売し、1億118万円の利益を得ていた。
■東京都の少年、カルキ抜き剤を覚せい剤と偽って携帯サイトで販売
8月、偽の覚せい剤を携帯電話のサイトを使って販売したとして、東京都の少年(18歳)と、少年の義姉(20歳)が詐欺容疑で逮捕された。2人はカルキ抜きに使う薬剤を覚せい剤と偽って販売していた。6月、偽覚せい剤を購入した東京都の男(32歳)が偽物であることに気づいて少年らを呼び出し、けんかとなったことから事件が発覚。2人は「覚せい剤中毒者は、偽物とわかっても警察に訴えないだろう」と思っていたと供述しているという。
(2007/08/15 ネットセキュリティニュース)