今年上半期のサイバー犯罪の検挙件数が、過去最多となった前年同期(1,802件)とほぼ同数(1,808件)だったことが警察庁のまとめで分かった。
今年上半期に検挙された犯罪の種別では、不正アクセス禁止法違反が前年同期の265件から156件(41.1%減)と減少したのに対し、詐欺や児童買春などのネットワーク利用犯罪が1,503件から1,611件(7.2%増)へと増加。ネットワーク利用犯罪では、最多の詐欺が490件で33.2%減少したのに対して、児童買春275件(62.7%増)、青少年保護育成条例違反110件(57.1%増)、著作権法違反127件(176.1%増)、名誉毀損などその他311件(59.5%増)などの増加が目立つ。
主なネットワーク利用犯罪の検挙事例としては、会社役員(25歳)が携帯用アダルトサイトを開設し、当該サイトにアクセスした被害者から不当な料金を騙し取った詐欺事件、会社員(29歳)らが、雑誌に掲載されたマンガをファイル共有ソフト「Winny」を使って不特定多数の利用者に送信した著作権法違反事件、女子中学生が携帯電話からインターネット掲示板に被害者の中学生を誹謗する内容を書き込んだ侮辱事件などがある。
また、都道府県警察に寄せられたサイバー犯罪などに関する相談の受理数は3万3,058件で、前年度同期より8.2%増加。相談内容の内訳は、架空請求や不当請求などの詐欺・悪質商法が38.6%、代金を払ったのに商品が送られてこないといったインターネットオークション関連が21.2%、インターネット掲示板やメールによる名誉毀損・誹謗中傷が12.7%などとなっている。
警察庁は、サイバー犯罪への対策として、サイバーパトロールの強化や、児童に対する出会い系サイト利用禁止などの啓発、携帯電話のフィルタリングの普及活動を推進するとしている。
(2007/09/03 ネットセキュリティニュース)
■平成19年上半期のサイバー犯罪の検挙状況等について[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h19/pdf37.pdf
【過去記事:ネットセキュリティニュース】
・06年サイバー犯罪~検挙数40%増、目立つオークション詐欺、児童の性的被害(2007/02/23)
・警察庁、2006年上半期のサイバー犯罪・不正アクセスまとめ(2006/08/22)
・2005年のサイバー犯罪が前年比1.5倍に急増、警察庁まとめ(2006/02/28)
・警察庁、2005年上半期のサイバー犯罪検挙状況を公表(2005/08/30)