擬似通貨「円天」を使って買い物ができるインターネットのショッピングサイト「円天市場」を運営していたL&G(本社:東京都新宿区)が3日、出資法(預かり金の禁止)違反容疑で強制捜査を受けた。警視庁生活経済課と宮城、福島両県警の合同捜査本部による大がかりなもので、1日には東京都の立ち入り調査も受けている。
同社はもともと健康寝具の販売を行っていたが、2001年頃から「100万円を預ければ3か月ごとに9万円の配当」を行うとして会員を募集。同社本店や銀座の直営店、ネットショップ「円天市場」などで衣類や日常品を購入できる擬似通貨「円天」も武器に、全国の会員約5万人から協力金として約1000億円を集めた。円天は「使っても減らない電子マネー」とされ、同社に10万円以上を預けると、毎年預けた金額と同額の円天が支払われていた。
2005年6月にはNPO法人「あかり研究所」を設立し、著名人の講演やコンサートなどを開き、集客に利用。同法人が内閣の認可を受けていることや、同法人の顧問に元警視総監が一時就任していたことが、会員を安心させたとみられる。
今年に入って配当が滞るようになり、全国の消費生活センターに相談が殺到。これまで東京、静岡、北海道の会員が同社を提訴して一部返還の判決が出ているほか、4月に愛知県の会員3人が協力金など3,200万円の返還を求める損害賠償請求を、8月には鹿児島県の会員4人が協力金1700万円の返還を求めて集団訴訟を起こしている。
同社は「集めた金は出資ではなく協力金」「出資者が自分の金を社内預金しているだけ」などとして、資金集めが目的ではないと主張している。
(2007/10/03 ネットセキュリティニュース)
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