乳児の心臓移植手術の費用が必要だとしてホームページで募金を呼びかけていた団体について、この乳児が入院しているとされている病院に該当する患者がいないことが分かった。
この団体は「おさむちゃんを救う会」と名乗り、ホームページやブログ上で、生後6か月の男児が拡張型心筋症で、アメリカで心臓移植手術を受けるために1億7,000万円が必要だとして募金を呼びかけていた。ところが、この男児が2007年3月生まれとされているのに、会の規約の施行開始日が2005年1月だったり、ホームページに記載されている内容が実在の別の「救う会」のものとほぼ同一だったことなどから、この団体が詐欺目的の架空団体ではないのかという疑いが浮上。この男児が入院しているとされていた埼玉医科大学病院にも問い合わせがあり、同病院は10日、ホームページに「当院においてこの患者さんを診察した事実は確認できません」とのコメントを掲載した。
「おさむちゃんを救う会」のホームページとブログはすでに削除されているが、「おさむの母」などの名前を使った、募金活動への協力を呼びかける書き込みは、小学校のPTAや老人会などの掲示板でも見つかっている。また、おさむちゃんの写真とされていた写真2枚が、ネット上で公開されていた女児2人のものであることも判明し、写真をネットで公開するという行為の危うさを印象付ける結果となった。
(2007/10/12 ネットセキュリティニュース)
■「鎌田治(おさむ)ちゃんを救う会」での募金活動について(埼玉医科大学病院)
http://www.saitama-med.ac.jp/hospital/