Winny情報流出が昨春マスコミに大々的に採り上げられるきっかけとなった事故のひとつが、刑務所の受刑者情報の流出だが、今度は水戸少年刑務所から受刑者など1,000名あまりの個人情報が流出した。警察関係を除く全職員の情報が流出した千葉県では、委託先2社の指名停止を発表した。
■水戸少年刑務所、受刑者情報を含む行政文書流出
法務省矯正局は25日、水戸少年刑務所(茨城県ひたちなか市)職員の自宅パソコンがウイルスに感染し、被収容者約120名と職員約900名の個人情報がインターネット上に流出したと発表した。
同局によると、流出したのは1999年から今年4月までの行政文書などで、この期間に収容されていた被収容者の一部、約120名分で、氏名や生年月日のほか罪名なども含まれていた。水戸少年刑務所は、全国に8か所ある少年刑務所の中で唯一、青年のみを対象とした施設で未成年者の情報は流出していないという。
当該職員は今年4月、故障した上司の業務用パソコンのデータ修復を依頼され、無断で自宅に持ち帰りデータを自宅のパソコンに保存。その後にウイルスに感染し、Winnyを介して流出したと見られる。今月16日、内閣官房情報セキュリティセンターからの連絡で発覚した。
法務省では昨年2月、宮崎地検で交通事件の関係者8名の個人情報が、京都刑務所で福岡刑務所や滋賀刑務所などの被収容者3,380名と職員2,283名の個人情報が相次ぎ流出。これを受けて、不用データの削除や個人情報の持ち出し禁止などを指示していた。
同局では、職員に対し個人情報の管理徹底を改めて指示するとともに、保存情報を他のパソコンでは閲覧できないように暗号化する機能を追加するなどの再発防止措置を講じるとしている。
・お知らせとお詫び[PDF](法務省)
http://www.moj.go.jp/KYOUSEI/kyouse25.pdf
■千葉県、職員情報の流出で2社を指名停止処分
富士通エフサス社員の私有パソコンから、千葉県職員1万5,000名分の個人情報が流出した問題で、千葉県は25日、委託先の富士通エフサス(東京都港区)と元請の日本電子計算機(東京都千代田区)の2社を4か月の指名停止処分とした。
県などによると、職員のICカード作成業務を担当した当該社員が業務ルールに違反し、自宅で作業を行うために職員情報をメールに添付して自宅パソコンに送付。業務終了後もメールを削除せずにいたところ、今月14日にウイルスに感染しShareネットワーク上に流出した。県はこれを、物品などの契約の相手方として不適当であると判断し指名停止とした。
ファイル共有ソフトによる個人情報流出をめぐっては、障害者情報1,490名分を流出したインテックが昨年8月、富山県高岡市から4か月の指名停止に。今年8月には、愛南町の合併前の5町村の住民情報5万4,850名分を流出したデンケンが、24か月の指名停止処分となっている。愛南町の問題では、同社は町から対応に要した費用など計1,453万2千円の損害賠償を請求され納付。クリック一発の代償は信用崩壊を招くとともに、経済面をも直撃する。
・物品等入札参加業者の指名停止一覧表(千葉県)
http://www.pref.chiba.lg.jp/syozoku/a_kanzai/tyoudo/shimei-teishi.html
・千葉県職員情報の流出について(千葉県)
http://www.pref.chiba.jp/syozoku/a_joushisu/info/security-20071016.html
・【お詫び】個人情報の流出について(日本電子計算機)
http://www.jecc.com/release/2007/20071019_171.html
・富士通エフサスHP
http://jp.fujitsu.com/group/fsas/
(2007/10/29 ネットセキュリティニュース)