ウイルスに感染によるファイル共有ソフトWinny(ウィニー)を介した情報流出が3件、明らかになった。宮古島病院、浦和実業学園高等学校、大阪府警察、いずれも古いファイルの流出ばかりだ。
個人が所有するパソコンでハードディスクドライブ(HDD)が使われはじめたのは、今から20年あまり前のこと。当時は高価で容量も少なかったため、作業が終わるたびに必要なファイルはフロッピーディスクに移し、不要なものは削除して、ディスクの空き容量を確保していた。低価格・大容量化が進むにつれ、面倒な作業は敬遠され、やがては二度とアクセスすることのない不要なファイルまで、HDDの中に放置してしまうユーザーが登場する。HDDのこまめな整理もまた、情報流出の有効な対策のひとつかも知れない。
■沖縄県立宮古島病院、元勤務医から5年前の患者情報11件流出
沖縄県立宮古島病院(沖縄県宮古島市)は1日、2002年に同院で治療を受けた患者11名の情報が、当時の勤務医の自宅のパソコンからインターネット上に流出したと発表した。
流出したのは、患者11名の氏名や生年月日、レントゲン写真、患部の写真など。元勤務医が当時のデータを削除し忘れたままWinnyを導入し、今年8月頃にウイルスに感染し流出したものと見られる。先月17日、ネット掲示板に流出情報が書き込まれているとの通報を受け調査したところ、元勤務医が自宅に保存していた情報であることが判明した。
・情報流出に関するお詫び(沖縄県立宮古島病院)
http://www.hosp.pref.okinawa.jp/miyako/somuka/owabi_07nov.htm
■浦和実業学園高等学校、2年前の生徒情報など数千名分流出の可能性
九里学園・浦和実業学園高等学校(さいたま市南区)の教諭の私有パソコンから、卒業生らの個人情報が流出していたことがわかった。編集部で電話取材を申込んだところ、同校は「流出したことは事実であり、たいへん申し訳なく思っている」としつつも、「朝日新聞に書かれている範囲のことしかお話しできない」としており、まだ流出情報の全容把握を進めている段階のようだ。
30日付の朝日新聞および同日付の毎日新聞の報道を統合すると、流出したのは2005年度のハワイ短期留学に参加者を予定していた当時の2年生640名の氏名と住所、パスポート番号、身体や健康状態に関する情報、顔写真など。このほかにも、担任した生徒や顧問を務めたクラブの部員など、98年度以降の生徒情報が大量に含まれているとみられ、2004年度の全校生徒2,000名以上の名簿が含まれているとの情報もある。
昨年5月頃にウイルスに感染し流出。先月27日、ネット掲示板で流出情報が報告され発覚した。
・浦和実業学園高等学校
http://www.urajitsu.ed.jp/sh/
■大阪府警察、5年前の警察官の住所録など250名分流出
大阪府警は29日、高槻署地域課の警部補の私有パソコンから警察官の住所録などが流出したと発表した。府警によると、流出したのは1994年から2002年にかけて警部補が個人的に作成した同僚などの住所録約200名分や、配属先の約50名分の緊急連絡網など。市民から受けた110番通報の受理報告書が1件含まれていたが、その他の個人情報や捜査情報などは含まれていない。
府警では昨年3月以降、再三にわたり警察情報の持ち帰りやWinnyの使用禁止を通達。自宅で使用していた場合には報告するよう指示していたが、警部補は「使用していない」と虚偽の報告をして使い続け、ウイルスに感染し流出。先月27日、流出情報がネット掲示板に書き込まれているとの通報を受け発覚した。
・大阪府警察
http://www.police.pref.osaka.jp/
(2007/11/05 ネットセキュリティニュース)