闇サイト犯罪が横行している。復讐相手の中傷ビラをまいたり、硫酸をかけて重傷を負わせたり、拉致しようとしたり。実行犯は闇サイトでの募集に応じて依頼されたり、共犯に至ったもの。
先月26日、総務省は「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会」の初会合を開いたが、検討テーマはこうした犯罪の温床となっている闇サイトや出会い系サイトに対する総合的対策だ。今後はほぼ月に1回、知識人やネット企業関係者が集まり、フィルタリング導入や掲示板管理者による削除対応などについて話し合う。手始めにフィルタリング普及促進に関する論点をまとめ、来年3月をめどに中間報告書を取りまとめる。
闇サイト犯罪では上記の復讐関連のほか、強盗や他人名義の口座売買など、さまざまな事件が起きている。面識のない者同士が手軽に共謀したり、安価な代償で人の尊厳を傷つける行為を請け負うケースが後を絶たず、情報発信の取締まりや法的処罰などの対策が急務となっている。
<最近報じられた闇サイト関連事件>
■闇サイトで復讐と称した嫌がらせを依頼、中傷ビラ配布
闇サイトを通じて知り合った男に報酬を支払い、愛知県稲沢市に住む主婦(35歳)を中傷するビラをまくように依頼したとして会社役員の女(45歳)と、ビラをまいた会社員の男(35歳)が愛知県警捜査2課と稲沢署に名誉棄損の容疑で逮捕された。会社役員の女は主婦に恨みを持っており、会社員の男に約30万円を支払って嫌がらせをするよう依頼。男は昨年9月に主婦の自宅周辺で主婦を中傷する偽りのビラをまいた疑い。ほかに、ビラ配りや無言電話などの嫌がらせを昨年6月から数か月続けたとみられている。
■闇サイトで共犯者を募り、元交際相手の女性拉致未遂
闇サイトで共犯者を募り、元交際相手の女性を拉致しようとしたとして岐阜県中津川市在住の派遣社員の男(34歳)と、募集に応じた同県関市の会社員の男(22歳)が、岐阜県警恵那署に強盗の容疑で逮捕された。両容疑者は今年10月9日午前零時ごろ、派遣社員の男が以前交際していた女性会社員宅に侵入し、女性を拉致しようとしたところ、抵抗されたために拉致をあきらめ、女性宅にあった携帯電話2台を奪って逃げた疑いをもたれている。
■闇サイトで復讐を依頼、硫酸をかけて重傷を負わせる
福岡市の路上で男性社員(44歳)に今年8月9日、硫酸をかけて重傷を負わせたとして福岡県中間市在住の会社員の女(36歳)と住所不定の無職の男(50歳)が福岡・東署に傷害の疑いで逮捕された。会社員の女は交際トラブルから被害男性に恨みを持ち、闇サイトで知り合った無職の男に数十万円を支払って復讐を依頼し、無職男が硫酸をかけた容疑をもたれている。
■闇サイトで他人の銀行口座を転売、約1300万円を売り上げ
他人名義の銀行口座を転売目的で購入したとして朝鮮国籍の住所不定で無職の男(36歳)が警視庁新宿署に本人確認法違反(有償譲り受け)で逮捕された。容疑者は携帯電話用闇サイトを開設して他人名義の預金通帳1通とキャッシュカード1枚を合計5万円で購入した疑い。今夏から10月までに171口座約1300万円を売り上げたとみられている。容疑者が売った口座は振り込み詐欺に悪用されていたという。
(2007/12/06 ネットセキュリティニュース)
■インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会(総務省)
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/internet_illegal/index.html