警察庁は2月29日、2007年のサイバー犯罪(情報技術を利用する犯罪)の検挙状況および相談状況を発表した。サイバー犯罪の検挙数は5,473件で、前年より23.7%増加、2002年からの過去5年間で約3倍になった。
そのうち「不正アクセス禁止法違反」は1,442件で前年の約2.1倍、「ネットワークを利用した犯罪」は3,918件で前年から9%増加した。一方、「コンピュータ又は電磁的記録を対象とした犯罪」は113件で前年を下回った。
不正アクセス後の行為としては、「ネットオークションの不正操作」が最も多い1,347件で前年の2倍以上だった。次いで「オンラインゲームの不正操作」が246件で前年より減少、「ネットバンキングの不正送金」が113件で前年の約3倍に増加した。不正アクセスの手口としては、フィッシングサイトによるものが1,157件と、前年の220件から大幅に増加。一方、スパイウエア等のプログラムを使用したものは55件で前年度より減少した。
ネットワークを利用した犯罪のうち、これまで増加傾向にあった「ネットオークションなどに関わる詐欺」が1,512件で前年に比べて減少したのに対して、「児童買春や青少年保護育成条例違反」は781件で前年から18.5%増加した。わいせつ物および児童ポルノ事犯は395件、著作権法違反が165件だった。
サイバー犯罪に関する相談件数は7万3,193件で前年から19.1%増加した。相談内容は「詐欺、悪徳商法」が44.8%、「ネットオークション」が17.4%、「名誉毀損や誹謗中傷」が12.1%だった。「インターネット安全・安心相談システム」へのアクセス数は42万487件で「料金請求」へのアクセスが全体の6割を占めた。
2007年のサイバー犯罪は「不正アクセスによる犯罪」と「児童が被害者となる犯罪」の増加が特徴的だった。不正アクセスについては、フィッシングサイトから識別符号を入手する犯行が目立った。警察庁は今後の対策として、ネット上の違法情報に対する取締りの強化、児童を被害者とする犯罪の防止とともに、ネットワーク利用犯罪の防止に向けて関係事業者への働きかけも行うとしている。
(2008/03/03 ネットセキュリティニュース)
■平成19年中のサイバー犯罪の検挙状況等について[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h20/pdf39.pdf
■不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況(警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h20/pdf40.pdf
■不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況について(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/press/20080229010/20080229010.html
■不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況[PDF](国家公安委員会)
http://www.npsc.go.jp/hightech/h200229_hightech.pdf
■不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況(総務省)
http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/080229_6.html
■警察庁 サイバー犯罪対策
http://www.npa.go.jp/cyber/index.html