政府は1日、インターネットを利用した人権侵犯事件の急増を受けて、ネットの節度ある利用を国民に呼びかけた。
法務省の人権擁護機関が2007年中に新規救済手続を開始した人権侵犯事件の数は、前年比0.8%増の2万1506件。うち、インターネットを利用した人権侵犯事件は、前年の282件を大きく上回る418件(48.2%増)となった。特に名誉毀損(157件)とプライバシー侵害(181件)が目立ち、ネットの人権侵犯事件の約8割を両者が占める。
ネットでは、顔や名前を知られることなく発言できるため、面と向かっては言えないような悪口や名指しの誹謗中傷が後を絶たない。こうして書き込まれたネット上の書き込みは、多くの人の目にさらされるため、回復困難なほど重大なダメージになってしまう危険がある。
政府は、インターネットは決して「仮想世界」ではなく、それを見ているのは現実の人であるということを忘れないよう呼びかけるとともに、被害にあった場合には、書き込みの削除要請や発信者の開示請求が行えるとしている。
開示請求や削除要請を行う場合には、証拠として保存するためにメールや文書で行うこととし、削除要請を掲示板などに書き込むことについては、無視されたり関係のない議論に巻き込まれるおそれがあるので避けるようアドバイス。また、個人で解決できない場合には、法務省の人権擁護機関である全国の法務局・地方法務局に相談するよう勧めている。
(2008/08/01 ネットセキュリティニュース)
■インターネットを悪用した人権侵害をなくすために(政府広報オンライン)
http://www.gov-online.go.jp/useful/article/200808/3.html
■法務省人権擁護局
http://www.moj.go.jp/JINKEN/index.html