PCや周辺機器メーカーのAsusTek Computer(本社:台湾)は3日、前日の2日に販売開始した小型デスクトップパソコン「Eee Box」にウイルスが混入していたとして、同パソコンの全ラインナップ製品を無償で回収・交換すると発表した。
ウイルス混入の指摘は、同パソコンが販売開始された2日夜に、購入したユーザーらがいち早く価格情報の共有サイトや著名掲示板に書き込んでいた。それを受けてパソコン関連メディアが同パソコンの買い取り調査を開始し、3日午後にはウイルス混入を確認する記事が出そろった。同社はそれを認める形で、3日深夜に無償回収・交換のリリースを出すこととなった。
同社の発表によると、Dドライブが「Recycled.exe」というウイルスに感染していた。購入したユーザーらの書き込みによれば、Dドライブにはこの「Recycled.exe」だけでなく、自動実行ファイルの「autorun.inf」も入っていた。ウイルス本体だけならプログラムを開くことにより感染するが、「autorun.inf」が入っていればドライブを開くだけで感染する。すなわち「Eee Box」はDドライブを開いただけで「Recycled.exe」に感染してしまう状態だった。
「Recycled.exe」のシマンテック検出名は「W32.SillyFDC」。USBメモリーなどのリムーバブルメディアを介して感染を広げるウイルスで、感染したパソコンに接続されているドライブに自分自身と自動実行用のファイルを仕掛け、感染を広げようとする。この危険を防ぐため、同社は「USBメモリ、SDカード等の記憶装置は絶対に接続しないでください」と呼び掛けている。
メーカーから出荷したばかりの新製品にウイルスが混入する事故は、2007年以降に限ってみても、ジャストシステムのUSBメモリ、エプソンのフォトビュワー、ロジテックの外付けHDD、バッファローのUSBメモリなど多数例がある(下記「関連記事」参照)。なぜこのような信じ難いことが起きてしまうのか、混入の経路を明らかにしてほしいものだ。
同社はウイルス混入の可能性がある製品型番とUPCコードを発表し、製品交換の方法をアナウンスしている。
(2008/10/07 インターネットセキュリティニュース)
■ASUSミニパソコン新製品「Eee Box」でのウイルス混入に関するお詫び(ASUSTeK Computer)
http://www.asus.co.jp/news_show.aspx?id=12964
■ASUSミニパソコン新製品「Eee Box」でのウイルス混入に関するお詫び(ASUS Eee PC)
http://eeepc.asus.com/jp/news_popup2.htm
■W32.SillyFDC(シマンテック)
http://www.symantec.com/ja/jp/security_response/writeup.jsp?docid=2006-071111-0646-99