東京都は、架空・不当請求に対する注意を喚起するために、携帯用サイト「モバイル版『STOP!架空請求!』」を開設している。このコンテンツを悪用して、アダルトサイトへのリンクを掲載しているサイトを確認したとして、都は今月8日、当該サイトのプロバイダに削除を要請したことを明らかにした。
問題のサイトは、「非営利団体 Stop 架空請求」のサイトとして開設され、複数の出会い系サイトからリンクされていた。サイトは「モバイル版『STOP!架空請求!』」にそっくりの画面構成で、同サイトのコンテンツを大量に盗用した上で、「不正の無い優良サイトのみを集めました」として「優良アダルトサイト集」へのリンクを掲載。リンクをクリックすると、出会い系サイトやアダルトサイトのリンク集へ飛ぶようになっていた。
都のリリースには、東京都の「モバイル版『STOP!架空請求!』」をかたり、アダルトサイトへ誘導しようとする偽サイトを確認したとあるが、問題のサイトは正規サイトをかたっていたわけではない。正規サイトで「(c)東京都生活文化局消費生活部」と表示されている部分はすべて「(c)Stop!架空請求!」に置き換えられ、都内の消費生活相談窓口へのリンクも削られていた。つまり、出会い系サイトが、安全性をアピールするための宣伝材料として、正規サイトの名称とコンテンツを悪用していたというのが実態だ。現在、このサイトは閲覧できない状態となっている。
【客引きに狂奔する出会い系サイト~不安をあおり、権威を利用】
架空請求という詐欺行為の存在が一般に知れ渡り、「無料のはずの出会い系サイトに登録したら別の有料サイトに登録されてしまった」という事例も、「STOP!架空請求!」などの啓発サイトで目にして知っている人が増えた。そのため、出会い系サイトやアダルトサイトを運営する業者は、さまざまな手を使って自らのサイトの安全性や優良性をアピールし、客集めを図っている。
恐怖感、不安感をあおっておいて、その解決策を提示するというのは詐欺によく使われる手口だ。今回のケースでも、「架空請求に使われる危険なサイトがある。でもこのサイトなら大丈夫だ」と持ちかけている。また、権威のあるもの(または権威ありげなもの)を持ち出してだましにかかるのも詐欺の常套手段。今回は「非営利団体 Stop 架空請求」という名称が権威づけに使われた。
こうした手口があることを念頭に、「ネットに転がっているうまい話」にだまされないよう注意したい。
(2008/10/16 インターネットセキュリティニュース)
■ 「STOP!架空請求!」を騙る偽サイトにご注意ください!!(東京都)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2008/10/20ia8400.htm
http://www.anzen.metro.tokyo.jp/net/i/nise_chuui.html
■ STOP!架空請求!(東京都)
http://www.anzen.metro.tokyo.jp/net/
■ モバイル版 STOP!架空請求!(東京都)
http://www.anzen.metro.tokyo.jp/net/i/index.html