情報処理推進機構(IPA)の職員が私有パソコンからファイル共有ソフトのShare(シェア)を介して業務情報をインターネット上に流出させた問題で、IPAは当該職員を停職3か月の懲戒処分にすると発表した。
同じくファイル共有ソフトを介した情報流出で、詫間電波工業高専の個人情報流出事件(昨年8月)、山形県の業務情報流出事件(昨年9月)において、流出させた職員に対し戒告処分が行われている。
■IPA、1万6000件以上の情報流出で職員を停職3か月に
今月5日、情報処理推進機構(IPA)の職員の自宅パソコンから同機構の業務関連情報や、当該職員が以前に所属していた企業の業務情報がShareを介して流出した問題で、同機構は19日付けで当該職員を「IPAの信用を傷つけ、名誉を汚した」ことなどを理由に、停職3か月の懲戒処分にした。
昨年12月30日頃、当該職員の自宅パソコンがウイルスに感染し、同機構のイベントの撮影写真や海外出張伺いの下書きなどの業務情報と、以前に所属していた企業の業務情報や私的画像など1万6208件のファイルがインターネット上に流出した。流出ファイルには西武百貨店はじめ、家電メーカー、広告代理店、食品メーカー、国の機関などの1万件を超す個人情報が含まれていた。
また、当該職員はファイル共有ソフトを使ってかな漢字変換ソフトや児童ポルノなどのわいせつ画像を検索し、その一部をダウンロードしていたことも判明している。
IPAはセキュリティ対策を推進する立場であり、ファイル共有ソフト利用の危険性についても以前から注意喚起を行ってきた。同機構は今回の事態を重く受け止め、今月7日に理事長を本部長とする情報流出対策本部を設置し、信頼確保や再発防止策の確立に取り組んでいるという。
・当機構職員の私物パソコンによる情報流出等について(IPA)
http://www.ipa.go.jp/about/press/20090119.html
■山形県、業務情報流出で職員を戒告処分
昨年9月25日、山形県の業務資料などがファイル共有ソフトのWinny(ウィニー)を介して流出した問題で、県は昨年11月21日付けで男性職員を戒告処分にした。
当該職員は、2007年9月に実施された農協検査に関する資料と、昨年7月に開催された「子育てするなら山形県」推進本部会議の議事録をメールを使って自宅パソコンに送信。このパソコンがウイルスに感染し、当該情報がインターネット上に流出した。県は自宅パソコンを含めてWinnyの使用禁止を通達していた。
・山形県
http://www.pref.yamagata.jp/
■詫間電波工業高等専門学校、学生の個人情報流出で教員を戒告処分
昨年8月19日、詫間電波工業高等専門学校(香川県三豊市)の2005年度の在籍生37名分の個人情報などがファイル共有ソフトを介して流出した問題で、同校は昨年10月30日付けで同校の50歳代の男性教員を戒告処分にした。
当該教員は、2005年に当時担任をしていた学生の個人情報を含むデータを自宅で作業するために学校から持ち出し、自宅パソコンに保存していた。昨年8月14日にこのパソコンがウイルスに感染し、学生37名分の氏名、成績などの個人情報がインターネット上に流出した。
・教員の懲戒処分について[PDF](詫間電波工業高等専門学校)
http://www.takuma-ct.ac.jp/sonota/syobun201030.pdf
・詫間電波工業高等専門学校
http://www.takuma-ct.ac.jp/
(2009/01/20 ネットセキュリティニュース)