厚生労働省は6日、6月1日から施行される改正薬事法の関係省令を公布した。同省令により6月1日以降、インターネットを通じた医薬品(大衆薬)の販売は大幅に規制される。医薬品のネット販売規制については販売業者などから反対の意見が出ており、舛添要一厚労相は同日、検討会を設置し、議論を続けるとした。
改正薬事法では、大衆薬を副作用のリスクによって第1類から第3類までの3つに分類。今回交付された省令により6月からは、リスクの高い第1類と、比較的リスクが高い第2類についてネット販売ができなくなる。第1類に該当するのは、H2ブロッカーを含む胃腸薬や一部の育毛剤など。第2類には主な風邪薬、解熱鎮痛剤、皮膚薬など多数の医薬品が含まれ、第1類と第2類で大衆薬の67%を占める。ネット販売が許される第3類には、ビタミン剤、整腸薬、消化薬などが該当する。
省令公布を受け、ヤフー、楽天、日本オンラインドラッグ協会などは同日、医薬品の通信販売継続を求める共同声明を発表。一般用医薬品の通信販売は、健康維持のために生活に深く根ざした必要不可欠な手段となっており、これが大幅に制限されると、国民の健康維持の観点から非常に大きな問題があると指摘した。ヤフーと楽天では、医薬品ネット販売の継続を求める署名活動をネットで行っており、8日現在で33万4千件の署名が集まっている。また、障害があり外出が困難な人、薬局のない離島に住む人などからコメントが寄せられているという。
舛添厚労相は省令公布後の記者会見で、新しく設置する検討会においては、薬局や店舗などでの医薬品購入が困難な人への対応方策や、ネット等を通じた販売のあり方について幅広く議論するとした。
ネットを通じて、違法なもの、危険なものを含めさまざまなものが売られている現状を考えると、医薬品のネット販売が規制された後には、法に従わない悪質な業者が出現することも十分予想される。また、個人輸入代行を利用するなどして、海外から薬を購入しようとする人の増加も予想される。国民生活センターでは5日、個人輸入代行に関するトラブルについて注意を喚起したが、同センターにこれまで寄せられた相談のうち65.4%が、医薬品を含む保健衛生品に関するものだった。
(2009/02/10 ネットセキュリティニュース)
■薬事法施行規則等の一部を改正する省令の概要[PDF](厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/pdf/gaiyou.pdf
■一般用医薬品販売制度ホームページ(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/index.html
■閣議後記者会見概要(H21.02.06)(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/kaiken/daijin/2009/02/k0206.html
■一般用医薬品の通信販売継続を求める共同声明
http://pr.yahoo.co.jp/release/2009/0206a.html
■ネット署名ページ(楽天/ヤフー)
※本通信はとくに署名をお勧めする立場ではありません
http://event.rakuten.co.jp/medicine/net_signature/
https://order.store.yahoo.co.jp/cgi-bin/wg-request-catalog?help
■解決困難な個人輸入代行に関するトラブル(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20090205_2.html
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20090205_2.pdf