インターネットに児童ポルノが氾濫し被害児童に深刻な影響を与えていることから、警察庁は18日、「児童ポルノの根絶に向けた重点プログラム」を策定し、都道府県警察に通達を行った。
重点プログラムは、警察庁に画像分析班を設置するなどの「取締り」と、児童ポルノ掲載アドレスリスト作成管理団体(仮称)の創設などの「流通防止対策」、画像分析体制を整え被害児童の発見保護活動を強化するなどの「被害児童支援」の3点を柱としている。
「取締り」の推進では、新たに警察庁に画像分析班を設置し情報分析機能を強化するとともに、職員の外国捜査機関への研修参加などを通じて新たな捜査手法を導入する。また、これまで行ってきた外国捜査機関との連携、サイバーパトロールや買受け捜査、児童ポルノ愛好者グループの徹底検挙などの施策も強化する。
「流通防止対策」では、児童ポルノ掲載アドレスリスト作成管理団体を創設し、アドレスリストを活用した流通防止対策を検討していくとともに、これまで行ってきたホットラインセンターを通じた削除依頼や検挙時の削除依頼を徹底する。
「被害児童支援」では、被害児童の発見保護に向けた画像分析態勢を構築する。被害児童に対しては、児童の心情に配慮した聴取手法を検討するとともに、児童ポルノ事件の特性を踏まえた被害児童支援のあり方について検討する。具体的には、女性警察官による事情聴取や、少年補導職員、少年相談専門職員や家庭、学校などと連携をとって継続的な支援が必要な児童の情報が集約されるような仕組みを整備したり、必要に応じて臨床心理学や精神医学などの専門家の助言を受けられる態勢を整えるという。
警察庁が公表している昨年の「少年非行等の概要」によると、児童ポルノ事件の送致件数は676件、送致人数が412人なのに対し、被害児童数は351人だった。発見保護された被害児童は一握りであることがわかる。今回のプログラムの策定を通じて、被害児童の発見保護の推進に期待したい。
(2009/06/23 ネットセキュリティニュース)
■児童ポルノの根絶に向けた重点プログラムの策定について[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen42/shiryou.pdf
■重点プログラムの概要[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen42/gaiyou.pdf
■通達本文[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen42/tsuutatsu.pdf
■少年非行等の概要(平成20年1~12月)[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/safetylife/syonen38/syonenhikou_h20.pdf