警察庁は20日、2009年上半期のサイバー犯罪(情報技術を利用する犯罪)の検挙状況等について取りまとめ、公表した。検挙件数は3870件で、前年同期の2192件より76.6%増加していることがわかった。
●増加要因は「不正アクセス禁止法違反」
検挙件数を大きく引き上げている要因は「不正アクセス禁止法違反」が1965件にものぼり、前年同期の157件より1151.6%(約12.5倍)増加しているところにある。1965件のうち1813件は同一犯行グループ(15人)によるもので、一連の犯行はヤフーオークション詐欺・イーバンク銀行不正送金事件(注1)として検挙されている。
●「児童ポルノ」「出会い系サイト」増加、「児童買春」減少
サイバー犯罪のうちインターネットを使った「ネットワーク利用犯罪」は1858件で、前年より1962件減少している。内訳をみると、増加しているものは、「ネットワーク利用詐欺」「児童ポルノ事犯」「出会い系サイト規制法違反」の3項目で、それぞれ706件(+123件)、194件(+83件)、184件(+25件)と増加。逆に減少しているものは、「児童買春」「青少年保護育成条例違反」「わいせつ物頒布等」などで、それぞれ174件(-110件)、154件(-57件)、53件(-42件)減少している。また、「ネットワーク利用詐欺」自体は増加しているが、そのうち「インターネット・オークション利用詐欺」は前年比で84件減少し、295件となっている。
●警察の相談窓口での受理状況
全国の都道府県警察の相談窓口でサイバー犯罪等に関する相談を受理しているが、相談件数は4万3756件で、前年同期の3万8506件より13.6%増加した。「インターネット・、オークション」に関する相談は4080件(-1009件)に減少する一方、「詐欺・悪質商法」「迷惑メール」に関する相談は、それぞれ2万1733件(+4,679件)、3343件(+484件)に増加している。
警察庁はサイバー犯罪への対策として、児童ポルノなど悪質事犯の取締りに重点をおき、投稿者だけでなく、違法情報の投稿や書き込みを知りながら放置している掲示板管理者の刑事責任の追及をも視野に入れた捜査を行うとしている。
※注1)ヤフーオークション詐欺・イーバンク銀行不正送金事件
福岡市のIT会社が暴力団関係者と共謀し、フィッシングの手口で口座情報を取得し不正送金をさせた事件。イーバンク銀行に口座を持つヤフーオークション会員を狙い、同行をかたって偽メールを送り、偽サイトに接続させて口座情報を取得していた。
(2009/08/21 ネットセキュリティニュース)
■平成21年上半期のサイバー犯罪の検挙状況等について[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h21/pdf50.pdf