総務省と消費者庁は19日、運営する出会い系サイトを宣伝するメールを受信者の承諾なしに大量に送りつけていた業者2社に対し、特定電子メール法のオプトイン規制(※注1)違反として措置命令を出し、業務改善を指示した。
措置命令を受けた業者は、アルファクト(東京都渋谷区)とEIGHT(東京都渋谷区)。同法では受信者の承諾なしで電子メール広告を提供することを禁じているが、アルファクトは少なくとも今年3月6日から10月14日までの間、同じくEIGHTは少なくとも今年1月10日から10月11日までの間、それぞれが運営する出会い系サイトを宣伝するメールを同意なしで送信していた。
総務省と消費者庁の発表では、違反メールで宣伝した出会い系サイトとして、アルファクトでは「LIP ROOM」および「メールカフェ」、EIGHTでは「JUICY」の名があげられている。調べてみると、アルファクトのメールカフェは「生涯無料で使える」をアピールしていた。だが、同サイトの会員規約によると、メールカフェはたしかに無料だが、入会と同時に他の有料サイトへ登録させる仕組みになっていた(※注2)。「LIP ROOM」はその有料サイトの1つだ。
【ネットユーザーが注意したいこと】
出会い系サイトへの勧誘メールは、単に断りなく送りつけられる迷惑メールという問題だけでなく、その後の問題につながっている。フィッシングなどと同様、メールの惹句につられてURLをクリックし、サイトの「無料」の文字にひかれて入会してみると、入会と同時に有料サイトに登録されてしまったり、そこから脱会するのに料金を求められるといった事態に陥りかねない。実際、そうした報告が、ブログや掲示板、Q&Aサイトなどに多数上がっている。
今年9月1日の消費者庁設置に伴い、特定電子メール法は総務省と消費者庁の一部共管となった。オプトイン規制はほかに経済産業省も行っている。官庁の再編が今後どう進んでいくかは不明だが、単に迷惑メールの業務改善指導だけではすまない問題が横たわっていることは確かである。
(2009/10/20 ネットセキュリティニュース)
(※注1)特定電子メール法のオプトイン規制:特定電子メール法の正式名称は「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」。同法では、あらかじめ同意した者に対してのみ広告宣伝メールを送信できる(オプトイン方式)としている。
(※注2)「メールカフェ」の会員規約では、同サイトに登録した場合、複数の有料携帯サイトに「登録されることを承諾するものとする」と記されている。有料携帯サイトのラインナップは「Love Flap」「VITメールカフェ」「会っチャオ!」「ハニカム」「LIP ROOM」の5サイトで、現在もすべて営業中である。
■総務省と消費者庁のリリース
・株式会社アルファクトに対する特定電子メール法違反に係る措置命令の実施
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02kiban08_000028.html
・株式会社EIGHTに対する特定電子メール法違反に係る措置命令の実施
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02kiban08_000027.html