愛媛県警生活環境課と松山東署は25日、DVDなどに記録された著作物の保護機構「CPRM」を解除するソフトウェアを販売したとして、長野県佐久市の東芝社員の男(39歳)を著作権法違反容疑で逮捕した。
警察の調べによると、男は昨年10月17日頃、ネットオークションを通じて愛媛県松山市の当時18歳だった男子高校生に、CPRMを解除する機能を持つソフトをネットからダウンロードさせる方法で販売。さらに同22日頃には、茨城市結城市の男性会社員(当時27歳)に、同ソフトを収録したCD-Rを宅急便で送る方法で販売した疑い。
男の逮捕を受けて東芝は同日、「当社従業員がダビング10ソフト販売による著作権法違反で逮捕されたことは、誠に遺憾に考えております。今後の捜査状況を踏まえて、厳格に対応してまいる所存です」とコメントしている。
CPRM(Content Protection for Recordable Media)は、DVDなどの記録メディアに保存された著作物を、コピーできないように保護する仕組み。地デジのダビング10やコピーワンスの番組の録画などは、このCPRMで保護されており、メディアには暗号化した状態で記録。正規のメディアと機器を使った時だけ、暗号を解いて再生できる仕組みになっている。
編集部の調べでは、男はネット上で公開されていたCPRMを解除するフリーのツール(暗号化されたコンテンツを暗号化されていない状態にしてコピーするソフトウェア)一式に自作のマニュアルを付け、ダウンロード650円、CD-Rは850円といった価格でネットオークションで販売していた。地デジのCPRM解除をうたった男の出品は、落札者から評価が寄せられたものだけでも約800件。販売は、昨年1月頃から始めたようだ。
著作権法では、保護を回避するソフトを不特定または多数を相手に譲渡したり、ネットで公開するなどの行為を違法としており、違反すると3年以下の懲役や300万円以下の罰金が科せられる。このようなソフトを自作したり、入手したりするだけなら問題ないが、実際にそれを使って保護を解除したり、解除したものであると知りながらコピーするのは違法行為になる。つまり、手に入れても使えないソフトであるということで、注意が必要だ。
(2009/11/26 ネットセキュリティニュース)
■事件・事故速報(愛媛県警察)
http://www.police.pref.ehime.jp/sokuho/sokuho.htm
■著作権法違反による当社従業員逮捕について(東芝)
http://www.toshiba.co.jp/info/091125_j.htm