インターネットのホームページ等を利用して入手できる「ホスピタルダイエット」や「MDクリニックダイエット」と称する外国製のやせ薬によって、健康被害が発生している。服用者が死亡した事例もあり、厚生労働省や東京都などが服用の中止や医療機関への受診を呼びかけている。
厚生労働省では10月9日、「ホスピタルダイエット」と称されるやせ薬をタイから購入し、服用していた40歳代の女性が昨年、死亡していたことを公表した。女性が使用していたやせ薬は7種の錠剤で、食欲抑制作用や利尿作用等のある複数の医薬品成分が検出された。女性は「ホスピタルダイエット」の服用8日目に呼吸困難、意識混濁で救急搬送され、死亡。偽性バーター症候群による不整脈または呼吸器麻痺が原因であるとみられている。
また、東京都は10月23日、海外から個人輸入した「MDクリニックダイエット」と称される製品を使用していた、気管支喘息の既往歴がある30歳代の女性が死亡していたことを明らかにした。製品と死亡との因果関係は不明。女性は、知人がインターネットを通じて海外から個人輸入した同製品を譲り受けて服用していた。都は、「MDクリニックダイエット」と「ホスピタルダイエット」は同じものだと指摘。この製品による健康被害事例(疑い)が複数の自治体から公表され、注意喚起がなされているとしている。
この製品は、タイの有名病院が処方したやせ薬とされており、インターネットを通じて個人輸入の形で購入可能。個人輸入代行業者を名乗る者のホームページで身長、体重、年齢や性別を記入して申し込み、入手するケースが多いとみられる。厚生労働省は、無承認無許可医薬品を安易に個人輸入して使用することは、その医薬品が偽造製品であったり、有害な物質が含まれている場合もあるため望ましくないとし、インターネット等で個人輸入して使用することは、くれぐれも避けてほしいとしている。
厚労省や都によると、この製品には、国内では未承認の肥満症治療薬、利尿薬、下剤、甲状腺ホルモンなどのほか、向精神薬が含まれていることもある。向精神薬が含まれている製品は、インターネット等により注文する個人輸入であっても、「麻薬及び向精神薬取締法」で禁じられており、違反した場合には処罰の対象となる。
(2009/11/13 ネットセキュリティニュース)
■「ホスピタルダイエット」などと称されるタイ製の向精神薬等を含有する無承認無許可医薬品による健康被害事例について(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/jirei/030902-1.html
■タイから輸入された「ホスピタルダイエット」と称される無承認無許可医薬品による健康被害(疑い)事例について(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/jirei/091008-1.html
■「MDクリニックダイエット」と称される製品からの医薬品成分の検出について(注意喚起)(東京都)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2009/10/20jana00.htm
■国立健康・栄養研究所の情報
・厚生労働省と東京都が「MDクリニックダイエット」と称される製品から医薬品成分(シブトラミンなど)が検出されたことに注意喚起
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail1297.html
・厚生労働省が「ホスピタルダイエット」と称されるいわゆる健康食品による健康被害事例を公表
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail1286.html
■麻薬及び向精神薬取締法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S28/S28HO014.html