今春から、自治体によるソフトの違法コピー使用と、それに伴う損害賠償金の支払いが全国で相次いでいる。3月には奈良市、7月には石川県、9月には弘前市でそれぞれ違法コピーが判明し、著作権を持つソフト会社に賠償金を支払っている。先週末には、北海道庁で約4700本の違法コピーが見つかり、マイクロソフト社に1億4000万円を支払うこととなった。
いずれも判明したのは、1台のパソコンでのみ使用することが許諾された正規ソフトを、何台ものパソコンにインストールして業務に使用する、組織内違法コピーだ。
市役所内で約640本の違法コピー使用が判明した奈良市は、3月、これまでの使用料や賃貸料、今後のリース料などの名目で、ソフトウエア会社から支払いを求められる可能性があるとして、2009年度予算案に計2300万円を計上した。
7月には、県庁内で約550本の違法コピーを使用していた石川県が、正規購入額の1.5倍に相当する賠償金約4000万円を支払うことでソフト会社と和解が成立。9月末には青森県の弘前市が、総額約823万円を支払うことでソフト会社4社と和解した。
11月14日には、北海道庁内で約4700本の違法コピーが見つかったことが新聞報道で明らかになった。庁内で違法コピーが行われているのではないか、という問い合わせをマイクロソフト社などから受けた道庁が、庁内のパソコン約24000台を調べたところ、これらの違法コピーが見つかったという。組織内違法コピーの典型例で、道では職員用パソコン本体は物品として管理してきたが、ソフトは一元管理していなかったという。
判明した違法コピーのうち約4000本が「ワード」や「エクセル」などのマイクロソフト製ソフトだった。道庁は今後も使用する約3200本分のソフトを1億4000万円で購入し、約800本を消去することで同社と合意した。残る約700本はオートデスク社の製図ソフトなどで、同社とも賠償について協議している。
報道各社からの取材に対し道庁は、今後、高橋はるみ知事を本部長とする「IT推進本部委員会」で対応を協議し、職員の再発防止策を検討するとしている。
(2009/11/16 ネットセキュリティニュース)
■BSAメンバー、弘前市と総額約823万円で和解(BSA)
http://www.bsa.or.jp/press/release/2009/1009.html
■BSAメンバー、石川県と総額約4千万円で和解(BSA)
http://www.bsa.or.jp/press/release/2009/0716.html
■奈良市
http://www.city.nara.nara.jp/
■北海道
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/