特許庁は、模倣品・海賊版の撲滅や知的財産保護の重要性を広く周知するため、11日から「模倣品・海賊版撲滅キャンペーン」を始めた。2003年度から毎年実施されているもので、今年度のキャンペーン期間は2010年3月31日まで。
模倣品とは、特許、実用新案、意匠、商標などの知的財産権を侵害した製品。バッグや時計などの偽ブランド品のほか、近年は医薬品の模倣品(偽造薬、模造薬)が増加している。また、海賊版は著作権や著作隣接権を侵害する製品で、違法にコピーしたソフトウエア、音楽CD、映画DVD、ゲームソフト、マンガなどが該当する。
●店舗販売よりもネット利用が多い「模倣品・海賊版」流通
特許庁が国内の8000社等に対して行った「2008年度模倣被害調査」によると、模倣品被害総額は年間983億円にのぼる。「政府模倣品・海賊版対策の相談業務に関する年次報告書」によれば、政府模倣品・海賊版対策総合窓口が受理した被害相談のうち、約8割がインターネット取引に関連している。警察庁が9月に発表した「平成21年度上半期年中における主な生活経済事犯の状況について」でも、模倣品・海賊版の流通では店舗販売よりもオークションなどのネット利用が多い。
いっぽう、昨年10月に内閣府が発表した「知的財産権に関する世論調査」では、こうした模倣品購入について国民の約半数が「購入するのは仕方がないと思う」と容認している。
こうした背景から、今年度のキャンペーンでは、インターネットショッピングによる模倣品購入をテーマの一つに取り上げており、期間中限定開設のWebサイトでは、模倣医薬品をネットで購入して健康被害にあう例がドラマ仕立てで紹介されている。また、ポスターには「ネットでコピー商品。安いから、面白いから。その気軽さが、いちばんあぶない」と大書されている。
模倣品・海賊版をなくすためには、「コピーをしない」「コピー製品を売らない」のはもちろんだが、「買わない」ことも重要だ。今回のキャンペーンでは、「だから、私は買わない」というキャッチフレーズで国民を啓発している。オークションでも通販でも、よく考えてからクリックしよう。また、真贋不明な商品をネットオークションに出品するのも避けたい。
(2009/12/17 ネットセキュリティニュース)
■平成20年度模倣品・海賊版撲滅キャンペーンについて
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/mohouhin/mohouhin2/no_fakes/h20_no_fakes.htm
■キャンペーン特設WEBサイト
http://www.kawanai.go.jp/
■政府模倣品・海賊版対策の相談業務に関する年次報告書(経済産業省)
http://www.meti.go.jp/press/20090629004/20090629004-2.pdf
■2008年度模倣被害調査(特許庁)
http://www.meti.go.jp/press/20090407001/20090407001.html
■「知的財産に関する特別世論調査」の概要(内閣府政府広報室)
http://www8.cao.go.jp/survey/tokubetu/h20/h20-chizai.pdf