パソコンや携帯電話で楽しめる「無料オンラインゲーム」が人気を集めているが、無料とうたっていても、実際はさまざまな利用料金がかかっていることがある。とりわけ携帯ゲームサイトで高額請求を受けたという相談事例が相次いでいることから、消費者庁、東京都消費生活総合センター、国民生活センターが16日、緊急消費者被害情報を発して注意を喚起した。
■「小学生の被害」際立つ
発表によると、今年4月から11月末日までの8か月間に寄せられたオンラインゲームに関する相談は654件で、このうち273件が無料オンラインゲームに関する相談だった。そのうちのおよそ4割に相当する110件は20歳未満の利用者によるものだが、小学生が利用してトラブルが発生したというケースが51件もあったことが際立っている。
総務省の調査結果によるとモバイルコンテンツ市場は右肩上がりの成長を示し、2008年前年比113%増の4835億円に達している。このうちモバイルゲーム市場は869億円(前年比102%)で不況下でも堅調に推移しており、アバターおよびゲームサイトで販売するアイテムなどの市場は156億円で前年比262%という急成長ぶりだ。
こうした状況を反映してか、相談内容で多く見られるのが、テレビで無料と宣伝していた、友達から無料と聞いたなど、無料ゲームと思いこんでいたら、あとになって通信料やアイテム購入費として高額の請求が舞い込んだというものだ。
■ゲームは無料でも、通信料やアイテムは有料
ゲームは無料であっても、携帯電話を使用すれば通信料金がかかる。あらかじめパケット通信制などで通信料に一定の上限を設定しておく必要がある。また、アイテム販売市場の急成長が物語るように、最近のゲームは進行に有料アイテムが必要となっていることが多い。子どもが利用する際には、保護者がこうしたゲーム事情を把握しておくことや、利用規約などに目を通して料金発生の仕組みを理解したうえで、子どもに無料ゲームを楽しむには「実際にはお金を払わなくてはいけない」と伝える必要がある。
国民生活センターでは消費者に注意を喚起する一方で、日本オンラインゲーム協会とモバイル・コンテンツ・フォーラムに対し、利用料や通信料がかかることが分かるような表示や広告を行うよう要望したという。
■ワンクリック詐欺などのトラブルも
このほか、無料ゲームサイトに登録したところ、年会費を請求されたり、退会しようとして退会手続き料を請求されるワンクリック詐欺や、ゲームサイト内で知り合った人物に個人情報を教えてしまったり、出会い系に誘われたりという相談事例も少なくない。
ワンクリック詐欺の被害を避けるには、安易にアクセスしないことはもちろん、料金請求を受けても慌てて業者に連絡したり、言われるがままに支払いをしないことだ。また、ネット利用に際してはさまざまなトラブルを避けるために、不用意に個人情報を教えないことを徹底したい。
不況下にあるとなんであれ「無料」は心をくすぐるが、「タダより高いものはない」と昔からいう。財布を開かずに、クリックするだけでお金が動くネットでは、とくに子どものうちからこの言葉の意味を噛み締めることが、被害予防につながるのではないだろうか。
(2009/12/18 ネットセキュリティニュース)
■インターネットをめぐる消費者トラブルについて(#2 「無料オンラインゲーム」)[PDF](消費者庁)
http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf/091216adjustments_2.pdf
■緊急消費者被害情報 携帯電話の無料ゲームで高額請求(東京都)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2009/12/20jcg300.htm
■「無料」のはずが高額請求、子どもに多いオンラインゲームのトラブル(インターネットをめぐる消費者トラブル #2)(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20091216_2.html
■ モバイルコンテンツの産業構造実態に関する調査結果(総務省)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02ryutsu04_000016.html