ヤマト運輸は3月26日、「宅急便」「クロネコ」などをかたる迷惑メールが多発しているとして注意を呼びかけた。同社の発表によると、メールは「宅急便お届けのお知らせ」との件名で届くが、本文は同社とは全く関係ない内容が記載されているという。
具体的にどういうことなのか調べてみると、怪しい「情報商材」の勧誘実態が浮かび上がってきた。情報商材は被害相談が急増しているとして、国民生活センターも注意呼びかけている。
■メール誘導先は FX取引「情報商材」販売業者サイト
ヤマト運輸が注意を呼びかけた迷惑メールは、FX取引の情報商材を販売する業者サイトへ誘導するメールだった。先週後半に大量にばらまかれたらしい。「クロネコ」をかたり「宅急便お届けのお知らせ」で届くもののほかに、同じ内容で「佐川」をかたる「再配送のご連絡です。」というメールや、「【mixi】マイミクシィへの追加リクエスト」などもある。いずれも実際に送られてくる可能性のある件名で、受信者がついうっかり開いてしまうのを狙っているようだ。このような手段を用いるところからして怪しさ満点である。
メールには「あなたがFXで勝てないのは・・・」「完全無料です」などと書かれている。記載されたリンクをクリックすると、いったん台湾のサーバーを経て、国内のレンタルサーバーに開設された業者サイトを開く。このような意味のない中継もまた、怪しい業者が身を隠すために、しばしば用いる手段だ。
■「無料デモ版ソフト」申込フォームで個人情報入力を促す
当該サイトには、「最初で最後」とか「期限限定、少人数限定で公開」などのあおり文句と、FXで儲かりそうなことが書かれている。無料のデモ版ソフトと称する申込フォームが設置されており、氏名とメールアドレスを入力させようとする。「入力頂いた大切な個人情報はSSL技術でデータを暗号化されて…」と書かれているが、SSLは無効状態。「https:」で接続しようとすると、証明書に問題があるので信頼できないという警告が出る始末だ。
無料のデモ版ソフトとの関係は分からないが、最終的に決済を完了すると、PDFのダウンロードURLを記載したメールを送るそうなので、FX関係の情報商材の販売が目的であることが推察できる。
■「情報商材」相談急増で国民生活センターが注意呼びかけ
情報商材は、インターネットで販売されている儲け話などのノウハウのことで、このようにPDFファイルの形で販売されているものが多い。今回の事例は、驚くほど出来の悪いメールとサイトだったが、最近は情報商材を専門に扱う販売サイトやアフィリエイト業者などが充実し、見た目だけで判断できないところが増えている。このため釣られてしまう方も増えているようで、情報商材に関する相談が急増しているとして、国民生活センターなどが注意を呼び掛けている。
国民生活センターによると、「代金を支払ったのに情報商材が届かない」といった苦情も寄せられているが、近年は「確実に儲かるという広告を見て購入したが、書かれていた通りに作業したのに収入にならない」「販売者にサポートを求めたが連絡が取れない」「返金保証の条件を満たしているのに返金されない」など、情報商材の内容に関するトラブルが目立つそうだ。
同センターなどに寄せられた相談のうち、業者を介して購入した情報商材に関する相談件数は、2006年度は37件、2007年度は157件だったが、2008年度は389件と倍増。昨年度は、2月末時点で718件と、前年同期の268件からさらに倍増している。同センターは、「必ず」「確実に」等の断定的な広告がある場合には注意すること、返金保証があるからと言って安易に契約しないこと、購入前に販売者の連絡先等を確認することなどを注意点としてあげている。また、トラブルが起きたり困ったときには、最寄りの消費生活センターに相談するよう呼び掛けている。
(ネットセキュリティニュース 2010/04/02)
■宅急便・クロネコ等を騙る迷惑メールについて(ヤマト運輸)
http://www.kuronekoyamato.co.jp/info/info_100326.html
■「絶対儲かる」「返金保証で安心」とうたう情報商材に注意!(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20100317_2.html
■ウェブサイトでFX取引の情報商材を販売する業者、そこから紹介を受けていたFX取引業者らに不法行為責任が認められた事例(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/hanrei/data/201003_1.html
■緊急消費者被害情報 「情報商材」のトラブル急増!!(東京都)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2009/12/20jcg200.htm