大規模ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の「GREE」を運営するグリー(本社:東京都港区)は18日、青少年の保護・健全育成のために、年齢別の機能制限、サイトパトロールを強化したと発表した。また、今月オープンしたばかりの小中学生向けSNSサイト「はてなランド」は、早々に運営終了の判断を下した。
SNSやプロフ、ゲームサイトなどのユーザー参加型コミュニティサイトが”出会い系サイト”として利用されるなど、子どもにとって注意を要する場となっていることが背景にあるとみられる。マカフィーが先月公開した「高校生のCGM(消費者生成メディア)利用実態」調査結果からも、思春期の青少年のネット利用の危うさが見えてくる。
■SNS「GREE」の規制強化
GREEは会員数2000万人を超える大規模SNSで、これまでも規模の拡大に応じてパトロールや年齢別の機能制限などの対策を強化してきた。今回の対策強化では、サイバーパトロールでは「面識のない異性との出会いなどを目的とした利用・投稿への監視」、年齢別機能制限では「面識のない異性との出会いなどを防止するため、メール送信において年齢別の利用制限を強化・細分化」があげられている。
GREEではこれまで、18歳以上と18歳未満の利用者間での送受信が規制されていただけだったが、今回の規制強化で13歳未満はメールの送受信を不可とし、13歳以上も互いにメールを送受信できる年齢層を細分化した。年齢詐称を防ぐための規制も強化する。
■小中学生向けSNSサイト「はてなランド」閉鎖へ
今月1日にスタートしたばかりの小中学生向けSNSサイト「はてなランド」が、早くも15日に運営を終了した。運営していた「はてな」(本社:京都市中京区)は、終了理由について、ユーザーが安心して楽しめると同時に、保護者にも安心してもらえるようにするために、サービス内容の見直しや新たな別のサービスとして検討をするためとしている。
■抵抗がない? 個人情報の書き込みや顔写真の掲載
マカフィーが先月発表した「高校生のCGM(消費者生成メディア)利用実態」調査からは、思春期の青少年のネット利用の危うさが見えてくる。15~18歳の高校生・高専の男女1030人に対し、9月10日から3日間、インターネットで行った調査である。
内容をみると、高校生がよく発言や書き込みをしているトップスリーは、ブログ(47.5%)、Twitter(27.9%)、チャット(27.1%)で、mixi(25.7%)、プロフ(25.0%)がこれに続いている。
書き込みをしたことのある高校生のうち、約半数(47.3%)が、自分や他人に関する個人情報を書き込んだことがあると回答している。とくに女子高校生の約3人に1人が自分の写真(30.4%)を、約4人に1人が自分の氏名(25.5%)を書き込んでいるという。自分を守る大切さや具体的な自己防衛策が身についていないことが浮き彫りになった形だ。
さらに高校生の半数以上が、誹謗中傷・デマ(53.7%)、わいせつな内容(50.7%)などの有害情報に接しているばかりか、犯罪行為の呼びかけ(13.6%)や、薬物・危険物の販売(5.9%)など、違法性の強い危険な情報にも遭遇していることも明らかになった。
コミュニティサイトのサービス提供側が年齢制限やサイトパトロールを強化することは重要だ。同時に、セキュリティの必要性や身を守る具体策などを子どもたちに教える安全教育も欠かせない。それはサービス提供側だけでなく、家庭や学校、社会全体で進めていかなければならない課題だろう。
(2010/10/21 ネットセキュリティニュース)
■青少年の保護・健全育成に向けた取り組み強化のお知らせ~ サイトパトロールおよび年齢別の機能制限の強化 ~(グリー)
http://gree.co.jp/news/press/2010/1018.html
■はてなランドユーザーの皆様へ
http://l.hatena.ne.jp/
■マカフィー、「高校生のCGM(消費者生成メディア)利用実態」調査結果を発表(マカフィー)
http://www.mcafee.com/japan/about/prelease/pr_10b.asp?pr=10/09/22-1
【関連記事:ネットセキュリティニュースコラム】
・子どもが悩むネットトラブル~夏休みを安全に過ごすために