消費者庁と総務省は17日、受信者の許諾なしに広告宣伝メールを配信していたとして、ITS社(大阪市生野区)に対し法規定を守るよう命じる措置命令を行った。
両省庁の発表によると、同社は他者が運営する少なくとも39のWebサイトに関する広告宣伝メールを、少なくとも今年3月9日から12月5日までの間、受信者の同意を得ずに発信していた。これは、特定電子メール法のオプトイン規制(同法第3条第1項)に違反している。
迷惑メールの相談を受け付けている日本データ通信協会には、同社が発信した広告宣伝メールについて、676人からのべ1万812件の相談通報があったという。
オプトイン規制とは、消費者から広告メール送付の請求や承諾がない限り、広告メールを送ってはならないという規定だ。大量に送られてくる広告宣伝を目的としたいわゆる迷惑メールの規制を目的として、2008年12月に施行された。措置命令に従わなかった場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金(法人の場合は3000万円以下)が科せられる。
●迷惑メールに対しユーザーにできること
今回の行政処分では、「少なくとも今年3月9日から12月5日までの間」迷惑メールが送信されたとあるが、同社に対するユーザーの苦情は、同社設立の翌月にあたる2009年6月頃からネットに書き込まれていた。「合コンや出会い系の広告メールが大量に送られてくる」「人材派遣やパチスロ、競馬、宝くじのPRもくる」「登録解除したら倍になって勧誘メールがきた」 等といった報告が、掲示板やブログ等に書かれていた。
これらの迷惑メールには、「このメールは、以前にご登録された[@@@]のお客様に配信しています。登録された覚えの無い方は、こちらに空メールで解約お願いします」などと書き添えられており、特定電子メール法のオプトイン規制を守っているかのように偽装していた。
同社の違反行為が明るみに出て行政処分が出されたことには、受信者から相談や通報があったことも力になっている。特定電子メール法に違反したメールを受信した場合、ユーザーにできることとして行政に通じる窓口を活用したい。
・迷惑メール相談センター(日本データ通信協会)
http://www.dekyo.or.jp/soudan/index.html
・電子商取引モニタリングセンター(日本産業協会)
http://www.nissankyo.or.jp/e-commerce/index.html
(2010/12/20 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・株式会社ITSに対する特定電子メール法違反に係る措置命令の実施[PDF](消費者庁)
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/101217premiums_1.pdf
・株式会社ITSに対する特定電子メール法違反に係る措置命令の実施(総務省)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban08_01000010.html