大阪府は19日、改正薬事法で対面販売が義務づけられている医薬品をインターネット上で通信販売したとして、光漢堂(大阪府枚方市)の三牧剛太郎代表を薬事法違反容疑により、府警枚方署に告発した。
2009年6月1日に施行された改正薬事法では、一般医薬品を副作用の危険性などが高い順に、第1類、第2類、第3類に分類したうえで、それぞれの販売方法を定めた。第2・3類の医薬品が登録販売者を配置したコンビニエンスストアなど薬局以外での販売が可能になった一方で、第1・2類については、原則として店頭での対面販売のみとなり、郵便等販売(ネット販売)は禁じられた。
告発された光漢堂は1995年にインターネット上に会員制の三牧ファミリー薬局を開設して医薬品の通信販売を始めた。大阪府健康医療部によると、法律で禁じられている第1・2類、および医療用医薬品のネット販売を継続していたため、2009年12月と10年7月の2回にわたって改善命令を出したという。これに対して同薬局は購入代理人を立てるいわば「代理対面販売」形式を採用し、ネット販売を継続していた。
こうした一連の経緯から、大阪府は同社が改善命令に従わなかったとして、今回の刑事告発に至ったという。なお、今回の刑事告発を受けて、同薬局のホームページでは、スカイプカメラによる対面販売が開始された。
改正薬事法による医薬品のネット販売禁止には、反対の声も多い。法施行を前に実施された2度にわたるパブリックコメントでも、規制に反対する意見が圧倒的多数だった。そうした声に押される形で、「薬局・店舗のない離島居住者」と「改正法施行前に通信販売で購入した医薬品の継続購入者」を対象に、第2・3類医薬品の通信販売のみ、2011年5月31日までという期間限定で認めた経緯がある。また、3月6日に行われた「規制仕分け」では、「一般医薬品のインターネット販売規制の緩和」が審議対象となっていた。これは、東日本大震災発生によって省庁間の調整が行われなかったことを理由に見送られた。
(2011/04/21 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・[健康医療部]薬事法違反者に係る告発について(大阪府)
http://www.pref.osaka.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=6747
・薬事法施行規則等の一部を改正する省令の概要(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/pdf/gaiyou.pdf
・薬事法施行規則等の一部を改正する省令の一部を改正する省令の施行について(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/ippanyou/pdf/kisokutuuti.pdf