動画投稿サイト「ニコニコ動画」に映画を無断投稿した男性が23日、著作権法違反容疑で逮捕された。2日後の25日、JASRACは違法着うたサイトの運営者らに、1億7000万円の支払いを求める損害賠償請求訴訟を起こした。
■ニコニコ動画で映画を無断公開
警視庁ハイテク犯罪対策総合センターと麹町署は23日、動画投稿サイト「ニコニコ動画」に映画を無断で投稿し公開たとして、高知県高知市の無職の男(35歳)を著作権法違反容疑で逮捕した。
男は昨年12月9日、映画「ナイト&デイ」「ソルト」の2作品を無断で投稿。不特定多数が視聴できる状態にし、著作権を侵害した疑い。警察の調べでは、2009年春ごろから、同サイトの生放送機能「ニコニコ生放送」を使い、約40作品の映画を投稿していたという。昨年の夏に投稿を見つけた日本国際映画著作権協会が、サイトの運営会社を通じて再三警告。男は、コミュニティや生放送機能の停止処分を何度も受けていたが、投稿を止めなかったため同協会が警視庁に相談していた。
動画投稿サイトをめぐる違法投稿は後を絶たないが、摘発にまで至るケースは少なく、ニコニコ動画では2009年5月に発売前のCDの投稿されて以来。このほかに、YouTubeで2010年6月にコミックスの投稿が、今月11日に「嵐」のコンサートDVDやTV番組の投稿が摘発されている。
■違法着うた「第3世界」の運営者らにJASRACが損害賠償請求
日本音楽著作権協会(JASRAC)は25日、2008年10月に摘発された違法着うたサイト「第3(○の中に3)世界」の運営者らに対し、1億7000万円余りの支払いを求める訴えを、同日、東京地裁に提起したと発表した。
「第3世界」をめぐっては、浜崎あゆみさんの「HOPE or PAIN」など3曲を無断で配信したサイトの運営者の男性と、同サイトに「情熱大陸」のテーマソングを提供した男性が著作権法違反容疑で摘発。同サイトが利用していたレンタルホームページサービス「モバイルスペース」を運営するエーウォーカー(本社:兵庫県神戸市)の役員の男性は、同法違反のほう助容疑で摘発。サイト運営者には懲役3年・執行猶予5年、罰金500万円の判決が、音楽ファイルを提供した男性には懲役1年6月・執行猶予3年の判決が、役員の男性には罰金50万円の略式命令が出されている。
サイト運営者の判決では、起訴されたのは3曲だが、サイトでは1万5000曲以上を違法に配信し1億2千万円の広告収入を得ており、被害は大きく常習性も明らかだと指摘された。その一方で、被害の弁償を申し出るなど反省の態度を示しているとしていた。ところが、その後も一向に損害金の支払いをしないため、JASRACは今回の提訴に至ったとしている。
なお、今回の提訴では、エーウォーカーおよび、その取締役であった者に対しても、運営者と連帯して損害金の支払いを求めている。
(2011/05/26 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・人気動画投稿サイト内で、映画の違法アップローダー、初逮捕。(日本国際映画著作権協会)
http://www.jimca.co.jp/info/cic.html#110524
・違法音楽配信サイト「第③世界」の運営者他に対して著作権侵害による損害賠償金の支払いを求める訴訟を提起(日本音楽著作権協会)
http://www.jasrac.or.jp/release/11/05_4.html