情報処理推進機構セキュリティセンター(IPA)は12月20日、インターネット利用に関する脅威について、一般利用者の意識調査を行った結果を公表した。スマートフォン利用者の約2割がウイルスの存在を知らない、無線LAN利用者の暗号化実施率は6割に留まる、などの実態が明らかになった。
この調査は、IPAが情報セキュリティ活動に役立てる目的で 2005年度から実施しているもので、今回で通算10回目となる。対象は15歳以上の PCインターネット利用者で、有効回答数は5240名(男性2683名、女性 2557名)。調査期間は10月24日~31日、Webアンケートを利用して実施された。
■スマートフォン利用率倍増、「ウイルスの存在知らない」は2割
スマートフォンの利用率は18.6%と前回の9.3%から倍増した。利用者の約9割が何らかの不安を感じており、不安内容のトップは前回同様「スマートフォン本体の紛失、盗難」だが、「ウイルス感染による不正利用」への不安が55.3%と前回39.5%から大幅に増加した。次いで「データ盗難・漏洩」52.3%、「第三者による不正利用」40.3%と続く。
スマートフォンをターゲットとしたウイルスについては、約8割の利用者が知っている一方、「存在を全く知らない」利用者が約2割いる。ウイルスに遭遇(発見または感染)した経験がある利用者は3.3%だが、「感染の有無はわからない」との回答が14.5%あった。スマートフォン利用者をターゲットとしたウイルスや攻撃は今後増加が予想されることから、セキュリティに関心がない層に向けた情報発信が課題となりそうだ。
・スマートフォンのセキュリティ<危険回避>対策のしおり(IPA)
http://www.ipa.go.jp/security/antivirus/shiori.html
■自宅での無線LAN利用者、暗号化の実施率は約6割
インターネットの利用場所は、「自宅で有線LANを利用」が62.9%と最多だが、2007年調査時の75.8%からは減少傾向にある。「自宅で無線LANを利用」は、2007年調査時の28.9%から45.9%まで増加している。無線LAN利用時に通信の暗号化を実施している割合は約6割(58.5%)に留まった。「暗号化を行っていない」は9.9%で、「暗号化を行っているかどうかわからない」31.5%と合わせると約4割となる。
暗号化を実施していない場合、無線LANを無断で利用されたり通信データを盗聴されたりする危険があるので、適切な対策が必要だ。
・一般家庭における無線LANのセキュリティに関する注意(IPA)
http://www.ipa.go.jp/security/ciadr/wirelesslan.html
報告書はこのほか、IT初心者ではセキュリティへの関心が低いことや、基本的なセキュリティ対策ができていない層が依然として存在するなどの調査結果を解説し、今後の課題を提示している。
(2011/12/21 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:IPA】
・2011年度 情報セキュリティの脅威に対する意識調査」報告書について
http://www.ipa.go.jp/security/fy23/reports/ishiki/index.html
・2011年度 情報セキュリティの脅威に対する 意識調査 報告書
http://www.ipa.go.jp/security/fy23/reports/ishiki/documents/2011_ishiki_report.pdf