情報セキュリティメーカーのデジタルアーツ(東京都千代田区)は、携帯の購入や機種変更が進むクリスマスを前に、全国の小中高校生を対象に携帯電話・スマートフォンの利用実態を調査し、7日に結果を発表した。今後、青少年のスマートフォン利用は急速に進むことが予想され、セキュリティ対策の徹底が望まれるとしている。
調査は先月18~19日、全国の小・中・高校生男女1236名を対象に、インターネットを介して行われた。調査対象者が所有する端末(複数回答)は、通常の携帯電話が71%、制限機能付きの子ども向け携帯電話が16%、スマートフォンが14%だった。
今後スマートフォンを使ってみたいかという問いには64%が肯定しており、スマートフォンへの関心の強さがうかがえる。スマートフォンで最も使われているアプリは「ゲーム」75%で、「趣味」41%、「SNS」40%と続く。
インターネット上のトラブルを経験した子どもは全体の10.8%で、小学生2.7%、中学生6.6%、高校生23.3%と年齢の上昇に合わせて割合も増加している。トラブル経験をスマートフォン所有の有無で見ると、所有者のうち18.5%が経験しており、非所有者9.5%のほぼ2倍にあたる。
家庭内で携帯電話・スマートフォンの使用ルールを設けている割合は、スマートフォン非所有者の70.9%に対し、使用者は39.9%と31ポイントも低い。フィルタリングの導入率も、非所有者42.8%に対し、所有者は27.5%にとどまっている。
違法サイトやアダルトサイト等の閲覧経験は、非所有者37.1%に対し、所有者は63.5%と高率だ。また、スマートフォン所有者の約半数にネット上で知り合った友達がおり、そのうち3人に1人が実際に1人で会いに行った経験があると答えている。これらはすべて非所有者を上回っている。
スマートフォン利用者は小学生が6.6%、中学生が10.2%、高校生が26.5%と年齢の上昇に合わせて多くなっている。つまり、年齢の影響もあるので、単純にスマートフォン利用者がフィルタリング利用率が低く、ネットトラブルが多く、違法サイトなどの閲覧経験が多いとは言い切れない。しかし、スマートフォンの所有率が高くなる中学生や高校生になると、フィルタリングの使用率が下がり、使用ルールが甘くなり、ネットのトラブルが増えるということは、この調査結果からも読み取れる。
調査の監修に当たったインターネット協会の国分明男氏は、未成年者へのスマートフォン普及が急速に進み、トラブルに巻き込まれる件数が増加することを懸念する。同協会に寄せられる相談件数は未成年者の携帯電話でのトラブルが年々増加の一途をたどっているが、スマートフォンは携帯電話よりも一段と手軽にインターネットに接続しやすくなるためだ。国分氏は「セキュリティへの高い危機意識と情報モラルの教育を、低年齢層からさらに徹底する必要がある」と警鐘を鳴らしている。
子どもにスマートフォンの利用を許す場合、家庭でよく話し合って使用ルールを設けることや、子どもの成長に合ったフィルタリングを設定することが、子の安全を守るために必須条件となることを再確認したい。
(2011/12/12 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:デジタルアーツ】
・プレスリリース:未成年の携帯電話・スマートフォン使用実態調査
http://www.daj.jp/company/release/2011/r120701.htm
・未成年の携帯電話・スマートフォン使用実態調査[PDF]
http://www.daj.jp/company/release/data/reference_20111207_01.pdf