警察庁は23日、出会い系サイト等を通じて犯罪に巻き込まれた児童について、2011年の被害状況等をまとめ、発表した。昨年1年間で、コミュニティサイトでは1085人、出会い系サイトでは282人の児童が犯罪被害にあっている。また、コミュニティサイトでは、13歳以下の低年齢の児童の被害が顕著にみられた。
18歳未満の児童が犯罪に巻き込まれる事件は、出会い系サイトに起因るすものが減少を続け、SNSやプロフィールサイトなどコミュニティサイトに起因するものが上昇を続けるという現象が、ここ数年続いていた。しかし、2011年は、統計を取り始めた2008年以降初めて、コミュニティサイト起因の事件が減少した。検挙件数は1421件で前年より120件減少、被害児童数は1085人で前年より154人減少している。
出会い系サイトは、検挙件数は1004件で前年に比べ21件減少したものの、被害児童数は282人で、前年に比べ28人の増加となった。2006年(1153人)、2007年(1100人)、2008年(724人)、2009年(453人)と、毎年一貫して減少してきた被害児童数が増加した。
●どんな犯罪に巻き込まれるのか
出会い系サイト起因でもっとも多い犯罪は、昨年同様「児童買春」で、被害児童は160人と全体の56.7%を占める。次いで「児童福祉法違反」「青少年保護育成条例違反」(どちらも46人、16.3%)、「児童ポルノ」(22人、7.8%)が続く。
コミュニティサイト起因でもっとも多いのは、こちらも昨年同様に「青少年保護育成条例違反」で、637名(58.7%)に及ぶ。次いで「児童ポルノ」(217名、20%)、「児童買春」(176名、16.2%)と続く。
注意を要するのは「重要犯罪」の3項目だ。出会い系サイトではいずれもゼロだが、コミュニティサイトでは「強姦」9名、「略取誘拐」1名、「強制わいせつ」7名の被害者が出ている。
●低年齢児童の被害が目立つコミュニテサイト
被害児童数を年齢別にみると、コミュニティサイトでは13歳以下は127人(全体の11.7%)、出会い系サイトは13人(全体の4.6%)だった。また、12歳以下は出会い系では2名だがコミュニティサイトでは24名、11歳以下は出会い系ではゼロだがコミュニティサイトでは4名となっている。コミュニティサイトでは低年齢の児童の犯罪被害が顕著であることがわかるが、この傾向は昨年も同様だった。
出会い系サイトは、18歳未満の利用禁止や年齢確認義務など法規制が強化され、被害児童の減少につながった。その減少分がコミュニティサイトに移行しているとみられ、児童が多く登録しているコミュニティサイトが狙われている。
警察庁は、コミュニティサイトにおける児童の被害を防ぐ対策として、フィルタリングやミニメール内容確認などを進めるとともに、サイト内で悪意ある大人を児童に近づけさせない「ゾーニング」の促進を、関係省庁や事業者、関係団体と連携して進めるとしている。また、モバイルサイトの審査・認定と運用監視を行っているEMA(モバイルコンテンツ審査・運用監視機構)に対し、「児童の犯罪被害情報」提供し、サイトの厳格な認定監視等の継続を促す。
(2012/02/24 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・平成23年中の出会い系サイト等に起因する事犯の検挙状況について(警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h23/pdf02.pdf