トレンドマイクロは26日、オリンピックに便乗した迷惑メールで、不正なB-CAS(ビーキャス)カードの違法販売サイトに誘導する手口が確認されたとして、注意を呼びかけた。興味本位で手を出すと、購入者も検挙されてしまう可能性がある。
B-CASカードとは、有料放送の契約情報などが記録されるICカードのことで、テレビやチューナー、ビデオ機器などに装着して使う。記録された契約情報にしたがって、有料放送の視聴制限が解除される仕組みだ。
違法販売されている不正なB-CASカードは、有料放送を無料で視聴できるようにカード内のデータを偽造したもの。文書偽造罪の電子記録版にあたる「電磁的記録不正作出及び供用罪」という罪に問われ、作った者、使った者、使おうとした者には、5年以下の懲役または50万円以下の罰金刑が科せられる。
今回確認された迷惑メールは、「オリンピック全日程が見放題」という件名で届き、年間40万円以上の視聴料がかかるデジタル放送全チャンネルが、3万5000円だけでずっと見放題などと好奇心をあおり、「Amazing-CAS Card」と称する不正カードの販売サイトへと誘導する。
サイト内のQ&Aのページには、「このカードを使うと捕まりますか」という質問対し、「どこで誰が使用しているかを調べることは不可能なので何の問題もない」と答えるなど、違法を承知のうえでの売買をにおわせる怪しい記述も見られる。
この手の不正なB-CASカードは、昨年あたりから海外の販売サイトなどを通じて出回っており、今年に入ってからは、国内のネットオークションなどを使った販売も目立つようになった。特にカードの改ざん方法がインターネットで公開された5月以降は、「○○○CAS」や「○○○ B-CAS」などと称した不正カードの販売サイトが乱立し、迷惑メールや掲示板の書き込み、公告など、さまざまな手段を使ったキャンペーンが展開されている。
不正B-CASカードをめぐる摘発では、カードの提供元だけでなく購入者も摘発され、書類送検される事態になっている。興味本位で手を出さないよう、くれぐれも注意していただきたい。
(2012/7/30 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・「オリンピック全日程が見放題」、日本語スパムメールで誘う改造B-CASカード販売業者(Trend Micro Security Blog)
http://blog.trendmicro.co.jp/archives/5651
・B-CASカード不正改造問題の事件概要と当社見解(B-CAS)
http://www.b-cas.co.jp/www/b-cas/kenkai_20120620.html