メールやSNSのメッセージで「悩みを聞いてほしい」「お金を渡したい」などと誘ってサイトに誘導し、有料サービスを利用させる“サクラサイト”に関する相談が後を絶たないとして、国民生活センターは6日、資料「詐欺的“サクラサイト商法”トラブルについて」を公開し、注意を呼びかけた。
国民生活センターによると、サクラサイト商法の被害にあうきっかけは、メールアドレスに直接届く広告メールのほか、SNSサイトのメッセージや、内職や副業関連のサイト、懸賞・占いサイトに登録した後に届くメールなど。
最初に送られてくるメールやメッセージでは、芸能人、社長、弁護士などになりすました“サクラ”が、「相談にのってくれたら報酬を払う」「遺産を受け取ってほしい」「節税のためにお金を渡したい」などと誘ってくる。
これらの誘いに乗って、指定されたサイト(サクラサイト)に登録し、やりとりをすると、掲示板を見る、メールを送る、メールを読む、画像を見るといった行為のそれぞれに費用がかかる。最近は、メールの送受信は無料とうたうサイトも現れているが、この場合もお金を受け取るための手続き費用などを要求される。
やりとりの相手は「後からポイント代を渡す」「話を聞いてくれないと自殺する」「やめるなら裁判で訴える」などとさまざまな理由を挙げ、やりとりを止めさせないようにする。また、サイト運営者を名乗る人物も、「ランクアップ費用」「文字化け解除料」などを要求してくるため、消費者は高額な料金の支払いを迫られることになる。
同センターに相談してきた60歳代の男性は、スポーツ新聞で見た婚活サイトに登録したところ、出会い系サイトにも登録され、メール交換を開始。メールのやりとりの中で、陰陽師を名乗る人から「悪霊がついている。取り除くための呪文を教えるので、その呪文をメールで50回送るように」等と言われ、1通約700円のメールを送り続けた。タレントや300万円を渡したいという人からもメールが届き、合計約600万円を支払ってしまったという。
こうした、いかにも怪しい手口に、なぜだまされてしまうのだろうか。
■専門家の指摘:誰もが被害者になる可能性がある
同センターでは、4月に「悪質“出会い系サイト”被害110番」(昨年12月に実施)の結果を公開しており、立正大学心理学部の西田公昭教授がコメントを寄せている。
同教授は、他者から見るとあまりに現実味がない相手とのやり取りであっても、本人の視点からは「すべて嘘ということもないのでは」との思いがあるという。くわえて、相手から送られてくるメールは、完璧なまでに優しい。だましのプロである業者が練りに練って仕掛けてくる文章だけに、人の心の隙に付け入る効果は強力だ。そうしたメールを読むと、完全には打ち消せない可能性がある限り、疑う気持ちは薄れてしまうという。
また、特に携帯電話で利用している場合には、着信音やバイブレーターでメールの到着を知らされるため、パソコンと比べてよりいっそう、「相手から呼ばれている」「必要とされている」という感覚になりやすい。リアルの生活で、社会の役に立ちたい、なんとなく寂しい、お金が十分にないなどと感じることがあれば、誰もが被害者になる可能性があると、同教授は指摘している。
国民生活センターは、トラブルにあったと感じたり不安を感じたりする場合は、最寄りの消費生活センターにつながる消費者ホットライン「0570-064-370」に電話をかけて相談してほしいと呼びかけている。
(2012/07/10 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:国民生活センター】
・詐欺的“サクラサイト商法”トラブルについて
http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/data/sakurasite.html
・詐欺的な“サクラサイト商法”にご用心!-悪質“出会い系サイト”被害110番の結果報告から-
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20120419_2.html
・報告書本文[PDF]
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20120419_2.pdf